21歳での起業からピボット、そして現在。株式会社RASHISA・岡本翔が語る「ソーシャルビジネスの壁と未来」

この記事でわかること

  • 岡本翔CEOの被虐待体験から起業、事業ピボットに至るまでのリアルな軌跡
  • 「社会課題解決」と「ビジネスによる収益化」を両立させるための葛藤と決断
  • 株式会社RASHISAが現在「経営者コミュニティ」に注力している理由と今後のビジョン

なぜこの企業に注目すべきか

株式会社RASHISAは、代表の岡本翔氏の原体験から「児童虐待問題」という重い社会課題にビジネスの力で立ち向かってきた稀有な企業です。本記事では、一般的な会社紹介では語られない過去の事業撤退のリアルや、経営者としての苦悩、そして中長期的なロードマップを赤裸々に語っていただきました。社会課題解決を目指すビジネスパーソンや経営者にとって、現場の一次情報が詰まった必読のインタビューです。

会社概要

会社名:株式会社RASHISA
コーポレートサイトhttps://rashisa123.com/
サービスサイト:https://rashisa-salon.studio.site/ 
代表取締役: 岡本翔
設立:2017年(岡本氏が21歳の時に創業)
事業内容:経営者コミュニティ事業の運営、人材アサインサービス、BPO・研修サービスなど(現在は「日本で最も信頼される場」を目指す経営者コミュニティの構築に注力)

創業ストーリー

なぜこの事業を始めたのか

岡本氏は広島で18年間育ち、幼少期に家庭内で親による虐待や、自身も叔父からの虐待を受けるという過酷な経験を持っています。しかし、21歳で起業した当初は自身の過去に蓋をしており、「大学生が自分らしく生きる社会を作りたい」という思いから就活支援事業でスタートを切りました。

創業時の苦労と転換点

大きな転換機となったのは、会社設立翌年の2018年に上京し、資金調達に動いた際のことです。初対面の投資家に対して、自身の過去のトラウマをすべて打ち明けたところ、「その人生は宝物だよ」と肯定されたのです。この言葉によって長年封印していた過去を「自分の人生の一部」として受け入れることができた岡本氏は、本当に自分がやるべき「虐待問題の解決」にフルコミットするため、2019年秋に育ててきた就活支援事業の売却を決断しました。

事業の特徴

競合との違いと強み

これまでの株式会社RASHISAの最大の特徴は、幼少期に辛い経験をした「虐待サバイバー」のマネジメントノウハウを体系化し、彼らの強みを活かした雇用創出を行ってきた点にあります。例えば過去の営業代行事業において、家庭環境で苦労したメンバーが「声だけで相手の感情を察する能力」を発揮し、他のメンバーの1.5倍の成果(アポ率)を叩き出した実績があります。

現在の提供価値

現在は事業フェーズを移行し、「いい人といい時間といい仕事」をテーマにした経営者コミュニティ事業に全力を注いでいます。2026年には年間100回以上の交流会や会食を開催。単なるマッチングにとどまらず、コンセプトに共感する優良な企業同士の繋がりを生み出すことで、将来的に虐待サバイバーが安心して働ける盤石な企業ネットワークを構築している点が、他社にはない圧倒的な提供価値です。

インタビューQ&A

Q. 幼少期の家庭環境の中で「自分はこういう大人になってはいけない」と最初に思ったのはいつ、どんな瞬間でしたか?

親が虐待をしているところを見た時ですね。それが最初の原体験になっています。

Q. 就活支援事業から虐待問題に取り組むためのピボットを決断した当時の心境を教えてください。

2019年の秋頃でしたが、自分の中で明確に「虐待問題をやろう」と決意しました。その際、既存の就活支援事業を潰すか、片手間で続けるか、それとも売却するかの選択に迫られ、最終的に売却してこの領域に専念する道を選びました。

Q. 事務・簡易デスクワークから文字起こしBPO、そして営業代行へと業態を変遷させてきた理由は何ですか?

最大の理由は「大きく誰かの雇用を作ることができなかった」からです。当初の業務委託モデルでは、数十名の虐待サバイバーの雇用は生み出せたものの、一人当たり月数千円から数万円の報酬しか届けられず、会社としても利益率が低かった。そこで、予算が積み上がりやすく、アルバイトや社員として安定して雇用できる営業代行へとモデルを転換しました。

Q. 「合理的配慮ハンドブック」を多くの方がダウンロードされたとのことですが、実際の取引に繋がった割合はどのくらいですか?

率直に言って、ほとんど取引には進んでいません。ダウンロードしてくださる方(当事者や職員の方)と、実際に導入を決定する人事や経営者層というターゲットが合致せず、お会いする機会が多くなかったのが理由です。

Q. 一緒に取り組みたい企業や、逆に「向いていない」と感じる企業の特徴はありますか?

表面的な側面だけで物事を判断するような方は向いていないと思います。一緒に取り組みたいのは、物事の背景や本質をしっかりと考え、向き合ってくださる企業様ですね。

経営者の価値観

大切にしている考え

岡本氏が経営において大切にしている価値観の一つが、公式サイトにも掲げられている「半径5メートル以内の人を大切にする」という哲学です。大きな社会課題を解決するためには、まず目の前の大切な人たちや自分自身の幸せ、そして健康を大事にしなければならないという確固たる考えを持っています。

経営哲学

人として、そして経営者として「不誠実なことはせず、逃げずに誠実に向き合う」ことを自身の理想像として掲げています。「ビジネスの力で虐待問題を解決する」という大きなミッションに向かう中で、時には逃げたくなるような厳しい現実(ロマンとソロバンの両立の難しさ)を痛感しつつも、誠実さを失わずに事業を推進しています。

今後のビジョン

目指している未来

直近3年間(2028年まで)は新規事業を行わず、現在展開している「経営者コミュニティ」を3,000名規模にまで拡大させることに集中します。そして5年後には1万社から2万社のネットワークへと育て上げ、数十億円規模の事業に成長させる計画です。

新しい挑戦

この巨大で信頼性の高いコミュニティ基盤が完成した暁には、虐待を受けた方と優良企業を繋ぐ「マッチング事業」を再始動させます。さらに中長期的には、NPOなどの外部組織と連携しながら、虐待サバイバー版の「障害者雇用促進法」のような新たな法制度や仕組み作り(ロビー活動)にも挑戦していく構えです。

読者へのメッセージ

最後に、本記事の読者に向けて岡本氏からメッセージをいただきました。

虐待サバイバーご本人へ 「現在はコミュニティ事業に注力しており、直接的な事業は一時お休みしていますが、私は一生をかけてこの問題に取り組むと決めています。またご一緒できる時があれば、よろしくお願いいたします」

企業の採用担当者へ 「もし、そうした方々の雇用やダイバーシティに関心があれば、ぜひお声がけいただきたいです」

社会問題に取り組む起業家へ 「私たちはこれから3年ほど事業の基盤作りに集中しますが、今まさに最前線で社会問題にフォーカスして事業を展開されている方々を、心から尊敬しています」

まとめ

株式会社RASHISAと岡本翔CEOの歩みは、決して平坦なものではありませんでした。自身の原体験をエネルギーに変え、社会課題とビジネスの狭間で幾度ものピボットと葛藤を経験してきました。だからこそ、現在の「経営者コミュニティの構築」という戦略は極めて地に足がついており、未来の大きなビジョン(虐待件数ゼロの世界、サバイバーの雇用創出)を実現するための力強い助走期間と言えます。

真のダイバーシティ&インクルージョンを組織に実装したい企業や、本質的な社会課題解決への関心が高く、質の高い経営者同士の繋がりを求めているビジネスパーソンにとって、株式会社RASHISAが運営するコミュニティは、非常に価値のある選択肢となるでしょう。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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