一般職から上場グループ取締役へ|友澤美保が語るピカパカ流変化に強い組織作り

東証プライム上場企業、エアトリグループの一員として、法人向けDX推進やBtoBソリューションを多角的に展開する株式会社ピカパカ。その事業の中核を担い、組織を牽引するのが取締役の友澤美保氏だ。

彼女のキャリアは、決して華々しいエリートコースから始まったわけではない。ハローワークを通じて一般社員として入社し、上司の退職による孤立、そしてコロナ禍による主力事業の消失という絶体絶命の危機を乗り越えてきた。

なぜ彼女は逆境をチャンスに変えられたのか。そして、後発ながら3,500社以上の導入実績を誇る「ピカパカ出張DX」は、なぜ多くの経営者に選ばれているのか。

本記事では、友澤氏の激動のキャリアと、危機を乗り越えるための意思決定、そして組織を急成長させるための独自のマネジメント論に迫る。

評価の原点は逃げずにやり抜く姿勢

友澤氏の経歴はユニークだ。新卒で社長秘書を務めた後、オーディオ機器の商社で飛び込み営業を経験。その後、アパレル業界を経て、「旅行が好き」という理由でハローワークを通じてエアトリ(当時:旅キャピタル)の門を叩いた。

配属されたのは、新規事業である法人事業部。しかし、入社からわずか1年後、立ち上げを共にした上司が退職し、友澤氏は社内で孤立することになる。

「当時は事業部を把握しているのが私一人しかいない状況でした。普通なら辞めてしまうような状況だったかもしれません。しかし、お客様もいましたし、何よりこの仕事が好きだった。だから、辞めるという選択肢はありませんでした」

全ての業務を一人で抱え、手探りで事業を継続する日々。そんな彼女の姿を見ていたのが、創業者の大石崇徳氏だった。

「辞めずにコツコツと真摯に向き合っている」

その姿勢が評価され、彼女は組織の中心人物へと引き上げられていく。

ここでの教訓は、経営者やリーダーが見ているのは「成果」だけでなく、困難な状況下での「姿勢」であるということだ。

友澤氏は、「どこをどう整備したらいいか、自分のやりやすいように言ってみなさい。そのように整備するから。」と大石氏から救いの手を差し伸べられたことをきっかけに、その後は新卒社員を採用して一から育てることで、現在の組織の基盤を築き上げていった。

主力事業消失を救った「PCR検査」へのピボット

2018年の分社化後、順調に成長を続けていたピカパカを突如襲ったのが、新型コロナウイルスのパンデミックだ。

旅行・出張需要は蒸発し、主力である出張手配事業の売上は壊滅的な打撃を受けた。多くの旅行会社が休業や縮小を余儀なくされる中、グループ経営陣が下した決断は、全くの異業種である「PCR検査事業」への参入だった。

「旅行の仕事がなくなった時、私たちは自社で衛生検査所を立ち上げ、PCR検査センターの運営に乗り出しました。これまで旅行手配をしていた社員が、検査業務や検査センターの運営業務を行う。全く未知の領域でしたが、これにより社員の雇用を守り、会社の売上を維持することができました」

他社がコールセンター業務などの受託に留まる中、ピカパカは自前で検査インフラを構築し、医療機関からの受託検査や訪問検査を行い、最盛期には全国13店舗の検査センターを運営するまでに規模を拡大した。この迅速なピボット(事業転換)が可能だった背景には、エアトリグループ特有のスピード感と、友澤氏ら現場の「変化を恐れない実行力」があった。

この経験は、現在のピカパカの強みである「多角的な事業展開」の礎となっている。現在同社は、法人DX推進事業に加え、人材ソリューション、ヘルスケア、コミュニティ運営など、リスク分散とシナジー創出を意識したポートフォリオを組んでいる。

3500社に選ばれる理由はキャッシュフロー改善と工数削減にある

ピカパカの主力サービスである「ピカパカ出張DX」は、開始から数年で3,500社以上の導入実績を持つに至った。

後発サービスでありながら、なぜこれほど支持されるのか。友澤氏は、その理由を「中小企業のキャッシュフローと管理コストへの深い理解」にあると語る。

ターゲットとなるのは、従業員数10名〜300名規模、月間の出張旅費が50万円を超える企業だ。この規模の企業では、社員が個人のクレジットカードで高額なチケットを立替払いしており、経費精算の手間と個人の負担が大きな課題となっている。

「ピカパカ出張DXの最大の特徴は、導入費用・月額固定費が無料(※プランによる)で、航空券や新幹線、ホテルなどの手配を一括請求書払いにできる点です。さらに、エアトリグループの購買力を活かし、他社にはない割引チケットの提供や、経費精算システム・会計システムとの連携が可能です」

〇クラウド型法人出張サポート『ピカパカ出張DX』
HP:https://btm.pikapaka.co.jp

特に経営者にとって魅力的なのが「与信管理」の仕組みだ。通常、リスクの高い中小・ベンチャー企業に対して、旅行会社は掛け売り(後払い)を躊躇する。

しかし、ピカパカは独自の与信管理体制と保証サービスを組み合わせることで、リスクをヘッジしながら柔軟な支払いサイトを提供している。

「未回収リスクへの対策は、事業運営上の最重要課題の一つです。私たちは保証サービスを活用しつつ、上場企業であっても状況に応じて条件を見直すなど、厳格かつ柔軟な運用を行っています」

現場の面倒を解消するだけでなく、経営サイドの「資金繰り」と「ガバナンス」に効くソリューションであること。これが、経営者の支持を集める真の理由である。

失敗を恐れず任せる権限委譲こそが若手を育てる組織論

友澤氏のマネジメントスタイルの根底にあるのは、若手への大胆な権限委譲だ。これはエアトリグループ全体の文化でもあり、ピカパカでも新卒数年目の社員が執行役員に抜擢されるケースは珍しくない。

「私自身、かつて一人で事業部を背負った経験から、自分一人の力には限界があることを痛感しました。人を動かし、組織で成果を出すためには、リスクが許容範囲内であれば、部下の『やりたい』という意志を尊重し、挑戦させることが重要です」

また、女性役員として、ジェンダーギャップの解消にも強い関心を持つ。

「女性管理職が少ない理由の一つは、ロールモデルの不在です。結婚や出産を機にキャリアを諦めざるを得ないのではないか、という不安を払拭できる環境が必要です。安心して長く働ける制度と風土があれば、リーダーを目指す女性はもっと増えるはずです」

実際にピカパカでは、友澤氏自身が新卒から育て上げた社員たちが、現在の組織の中核を担っている。実力主義でありながら、社員の成長を長期的に見守る「育成の風土」が、同社の急成長を支えるエンジンとなっている。

出張DXの先に見据える経営課題解決のプラットフォーム構想

ピカパカは今、単なる旅行代理店発の企業という枠を超えようとしている。その象徴が、経営者コミュニティ「ピカパカCXO倶楽部」の運営だ。

審査制の食事会やイベントを通じて経営者同士を繋ぎ、ビジネスマッチングを創出するこの取り組みは、顧客である法人企業への付加価値提供の一環である。

「私たちのミッションは、法人企業の課題解決を包括的に支援することです。出張DXはその入り口に過ぎません。人材不足には人材ソリューションを、販路拡大にはコミュニティを。あらゆる角度から企業の成長を支えるパートナーでありたいと考えています」

AIやRPAの活用による業務効率化も進めている。単純な予約業務は自動化しつつも、「個人の好みや細かなニュアンス」への対応といった人間ならではのサービス品質は維持する。テクノロジーとホスピタリティの融合が、次なる戦略の鍵だ。

〇経営者コミュニティ 『ピカパカCXO倶楽部』
HP:https://www.pikapaka.co.jp/service/cxoclub/

好きなことを仕事にし逃げずにやり抜く哲学が組織を強くする

ハローワークからの入社、孤立無援の事業部運営、コロナ禍での事業転換。友澤美保氏の歩みは、そのまま株式会社ピカパカの「変化に強く、粘り強い」企業DNAを体現している。

「どうせやるなら、好きなことを。そして、一度決めたら逃げずにやり抜く」

そのシンプルな哲学が、ピカパカという組織を強くし、多くの顧客企業の信頼を勝ち得ているのだ。

出張管理の効率化に留まらず、組織のDX、そして経営そのもののアップグレードを目指す経営者にとって、友澤氏率いるピカパカは、頼れる伴走者となるだろう。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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