地方から世界へ挑む、株式会社まる優・財部優次郎氏の多角化戦略

少子高齢化や市場縮小など、地方企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
そんな中、福岡県久留米市に本社を置き、ヘルスケア商材からキャラクターグッズ、空調設備、さらにはグラミー賞公認イベントへの参画まで、驚異的な多角化で成長を続ける企業があります。それが株式会社まる優です。
19歳で起業し、開発型の総合商社を率いる代表取締役の財部 優次郎(たからべ・ゆうじろう)氏の経営哲学には、不確実な時代を生き抜くための実践的なヒントが詰まっています。
本記事では、多角化を成功させるパートナー選びの極意から、AI時代を見据えた独自の生存戦略、そして人材育成の裏側まで、さらに深く迫ります。
起業の原点と「目の前の困った」を解決する圧倒的な実行力

財部氏が最初にビジネスの世界へ飛び込んだのは19歳のときでした。
その後、23歳で株式会社まる優を設立しますが、その法人化の理由は「当時交際していたパートナーを雇用するため」という個人的な思いと、「自治体との契約や工場への生産委託をスムーズに進めるため」という極めて現実的なものでした。
創業資金は自ら貯めた自己資金のみで賄い、当初は人脈もゼロの状態でしたが、インターネットを活用して自ら電話や問い合わせを行い、ゼロから取引先を開拓していきます。
その結果、起業から法人化までの4年間、事業での大きな失敗や撤退は一度もなかったといいます。
まる優のDNAとも言えるのが、「目の前の人が困っている。それを商いの力で解決できるなら、業種なんて関係ない」という徹底した課題解決の姿勢です。
実際、同社には久留米市公式キャラクター「くるっぱ」のグッズ制作や立体モニュメントのデザイン、ヘルスケア資材の開発、さらにはWebサイトの制作まで、業種の垣根を越えた多種多様な相談が舞い込んでいます。

まる優がこれほど幅広い要望に応えられる理由は、自社を単なる卸売業ではなく、OEM・ODM対応からプロモーション設計までを一気通貫で担う「開発型の総合商社」と位置づけている点にあります。
財部氏によれば、一般的な商社は「モノの調達」に特化し、広告代理店はモノの品質に関わらず「売り方」に特化する傾向があります。
しかし同社は、モノづくりから広告運用までを一貫して行い、川上から川下まで現場を見ているため、事業全体のどこがボトルネックになるかを正確に吟味できるという独自の強みを持っています。
そのため、飲食店、工場、ホテル、など、実際の「建物」や「現場(オフライン)」を持つ企業との相性が非常に良いのが特徴です。
また、財部氏は「失敗しない商社の選び方」について、独自の視点を持っています。例えば、特定の成分に詳しい大学教授はその成分の良さは語れても、専門外の代替品との比較はできません。
真に頼れる商社とは、「一人の専門家」に依存するのではなく、幅広いネットワークから「どれが一番最適か」をフラットに選定できる企業であるべきだと財部氏は語気を強めます。
海外調達においても、「すぐできる」というクライアントの誤解を丁寧に解き、サンプル確認を含めた3〜4ヶ月の確実な納期設定と、現地日本人スタッフによる国際情勢を鑑みたリスク管理を行うことで、高い信頼を獲得しています。
あえて地方を選ぶ戦略と、危機を飛躍に変えたコロナ禍

久留米市という地方都市に本社を置くことは、財部氏にとって意図的な戦略です。
東京で営業活動を行う際、福岡の会社であることで相手の印象に残りやすく、さらに首都圏で働く九州出身者からの共感や応援を得やすいという独自のメリットを生み出しています。地方を拠点にすることの経営上のデメリットは「ない」と財部氏は断言します。
単一の事業に依存しない多角化戦略は、危機的状況において真価を発揮しました。コロナ禍において、まる優は福岡県の新型コロナワクチン接種会場で使用される使い捨て手袋の調達をすべて請け負うなど、コンテナ単位での大規模な発注(数億円規模)に応え、売上を10倍以上に伸ばしました。
これは決して偶然ではなく、「リスク分散」と「地域内の循環」を同時に実現する多角的な事業構造がもたらした必然の結果です。
不登校経験から生まれた「型にはめない」マネジメントと教育

財部氏の経営を語る上で欠かせないのが、自身の不登校経験から導き出された「人を型にはめない」という哲学です。まる優では学歴を問わず中卒でも本人の意欲を重視して採用を行っており、社内ではネガティブな発言を控え、前向きな声掛けを推奨しています。
また、財部氏は一般社団法人遺伝子教育研究所の代表理事に就任し、教育現場の変革に力を注いでいます。
実際の社会では「丸かバツか」で答えられる問題ばかりではありません。だからこそ、答えが1つではないクリエイティブな授業を増やし、学生時代から自ら考える力を養うことが、社会に出てからの仕事力に直結すると提言しています。
AI時代に価値が高まるフィジカルと情緒

常に先を見据える財部氏が、今後3〜5年の最大の成長領域として注力しているのが「空調設備事業」です。地球温暖化による40度超えの猛暑で室外機の故障が急増する一方、電気工事士の高齢化・引退により供給が圧倒的に不足しています。
修理に数週間待ちが当たり前となる中、顧客は「高くても早く直してほしい」と望んでおり、確実にインフレが起きていると指摘。
財部氏は、AIの進化によってデジタル領域での人間の仕事が減少する反面、電気工事のような「体を使うフィジカル系の仕事」や、音楽・エンタメのような「情緒的価値を提供する仕事」が今後さらに重宝されると予測しています。
データセンター建設などの特需も相まって、電気工事士の年収は将来的に2000万円規模になるとも見込んでおり、その人材不足を解消するために東京で電気工事士を育成するスクールを設立する計画も進めています。
同時に、エンターテインメントという情緒の領域でも躍進しています。毎年5月5日に山本リンダ氏などレジェンド歌手を招いて開催してきた音楽イベント「Tokyo A GoGo(トウキョウ・ア・ゴーゴー)」を通じた「日本文化を残す」という活動の縁が実を結び、2026年にはグラミー賞公認の国際プロジェクト「AXLR8-G」への制作支援パートナーとしての参画も決定しました。
多角化を成功に導く「3つの優」。可能性を限定しない経営哲学

業種の壁を軽々と飛び越え、地域の課題解決からグローバルなエンターテインメント、そして次世代のインフラ保全までを網羅する財部氏の経営手腕。
「この商いは、お客様にとって本当に優しいものか。確実に利益を生み出すものか」というシンプルな問いを判断軸に、「優れた商品・優しさを感じるサービス・優秀な人材の育成」という三つの「優」を追求することで、無謀な拡大を防ぎ、多角化を成功へと導いています。
予測困難なこれからの時代において、自社の可能性を限定せず、変化に柔軟に対応していく株式会社まる優の360度の視野と行動力は、多くの経営者にとって大きな刺激と生き残りのヒントになるはずです。
プロフィール・会社概要
経営者プロフィール
氏名: 財部 優次郎(たからべ ゆうじろう)
出身: 福岡県久留米市
生年月日:1990年7月8日
趣味: 囲碁
略歴:
福岡県久留米市出身。19歳でヘルスケア系事業を立ち上げ起業。自治体等との契約を円滑に進める等の目的から、2014年(23歳)に株式会社まる優を設立し代表取締役に就任。
創業から4年間、事業での大きな失敗や撤退なく基盤を構築。また、自身の不登校経験から「人を型にはめる教育の限界」を痛感し、現在は一般社団法人遺伝子教育研究所の代表理事として、クリエイティブな教育の普及にも尽力しています。
現在は空調設備や医療、教育、キャラクターグッズ制作など、枠にとらわれない多角的な事業を展開する「開発型の総合商社」を牽引しています。
会社概要
会社名: 株式会社まる優
所在地: 福岡県久留米市山川追分1丁目3-8
設立: 2014年7月
Webサイト: https://maruyu.net/
事業内容: 建物空調&CO2削減、工場設備&ロボット、人材採用支援・研修、教育・学習塾運営、ヘルスケア資材開発~販売、衛生資材提供&遠隔医療相談、プロモーション&グッズ製作

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