壁谷公認会計士事務所 壁谷英薫が語る「挑戦する経営者」を支える覚悟

「経営者は孤独だ」この言葉の重みを、誰よりも理解している公認会計士がいる。壁谷公認会計士事務所の代表、壁谷英薫(かべや ひでのぶ)氏だ。

一橋大学商学部3年次に当時最年少で公認会計士試験に合格し、KPMGあずさ監査法人でエリートコースを歩んだ後、25歳で独立。

以来、延べ1万件以上の中小企業の経営相談を手がけ、独自の「カベヤ式会計」で数字に苦手意識を持つ経営者たちを支え続けてきた。

本記事では、壁谷氏が語った独立の真相、AI時代における会計事務所の価値、そして「100年続く企業」を支援するための覚悟に迫る。

独立の決断 – 仲間を助けたいという純粋な想い

25歳で独立を決断された最後の一押しは何だったのでしょうか?

仲間を助けたいという想いですね。独立直前に、リアルで400~500人ぐらいの経営者さんとお会いしていたんです。その方々が、今も紹介してくださっている仲間たちなんですが、「壁谷、独立するなら頼むわ」「助けてくれ」という声を本当にたくさんいただいて。

彼らは1期目から僕が担当していたお客様たちで、お金の面ですごく不安を抱えていたんです。内部の管理会計を作ってくれとか、そういう相談が多くて。それだったら転職ではなく、この方々を助けるために独立しようと決意しました。今も支えてくださっている仲間たちが「助けてほしい」と言ってくれたこと、それが最後の一押しでした。

独立後3ヶ月で30件の顧問契約獲得とありますが、実際はどうだったのでしょうか?

1件目のお客さんは、僕が独立する前から「独立したら頼むぞ」と言ってくださっていた方々で、30何件かあったんです。だから1件目の獲得は、実は独立前から決まっていたようなものでした。

僕のやり方は今も変わらず、100%紹介だけでやるというモデルなんです。ご縁をいただいた方々のエコシステムの中で、その人たちを助けていきたいという想いがあったので。

独立後に気づいた「判断ミス」と成長の軌跡

独立後に判断を誤ったという経験があれば教えてください。

独立当時、僕のところに来る相談は財務の相談が圧倒的に多かったんです。借入をしたい、管理会計を作りたい、会社をもっと強くして事業計画を作りたい…会計士なので、税の相談ではなかったんですよね。

でも失敗したなと思ったのは、税務を軸にしたサービス体系にしてしまったことです。本来なら、最初から財務と管理会計を軸にしたサービスを展開すべきでした。

ただ、結果論としては、税務をやったことで「税務もやりつつ財務の強みがある会計士」というポジションを確立できたんです。業界で「税務もやってるのに財務まで相談できる」というのが口コミになって、最終的には良かったのかなと。でも、最初から財務だけやっていても良かったんじゃないかと今でも思います。これが判断を誤った経験ですね。

「カベヤ式会計」誕生の秘密 – 父親を説得するために

数字を使わずに財務を理解するという「カベヤ式会計」のコンセプトは、どのような経験から生まれたのでしょうか?

実は、うちの父親対策なんですよ(笑)。

僕の父は3代目の経営者なんですが、数字をガチッと読むということをあまりやろうとしなかったんです。もちろん財務諸表は読みますけど、使いこなせていなかった。それで、図で説明してあげようと思ったんです。

中小企業の社長に説明したら分かってもらえるだろう、使ってもらえるだろうと思って、最初は父に説明するために財務諸表のつながりを図で表現しました。「ここのところに力を入れると利益が出てくるんだよ」ということを説明するために作ったものが、実は壁谷式会計の大元なんです。だから、父を説得するためのツールだったんですね。

ちなみに僕は実家の会社で専務取締役をやっています。全然専務らしいことはしてないんですけど、一応この数字を見てあげるという役割でやり始めたのが最初です。

その結果、中小企業の社長さんたちにも受け入れられたと。

そうです。中小企業の社長さんはみんな数字が苦手なので、だったらもっと感覚的に捉えようと。右脳を使って、左脳じゃなくて。図だけで説明できたらこれより分かりやすいよね、という発想で作りました。

Vision戦略図 – 6つのステージで会社の成長を見える化

「Vision戦略図」とはどのようなものなのでしょうか?

Vision戦略図は、損益計算書(PL)とキャッシュフロー計算書(C/F)を融合した考え方を1枚の図で表したものです。壁谷式会計の中でも中心的なツールですね。

黒字か赤字かだけじゃなくて、キャッシュフロー上の黒字・赤字まで見ようというのがコンセプトです。それを成長の過程として考えたときに、6つのステージに分かれたんです。

  1. 赤字企業
  2. 損益分岐点企業(トントン)
  3. 黒字企業だけどキャッシュフローは赤字の企業
  4. 黒字でかつキャッシュフローがトントンの企業
  5. 黒字でキャッシュフローも黒字の企業
  6. 黒字で借入がないからキャッシュフローは大きく黒字の企業

全ての会社を6番のステージに持っていく。つまり、無借金で会社を回せるようになるのが一番いいよね、というのがこの6つのステージの考え方のベースです。

壁谷式会計で企業を救った事例 – 死線から40億企業へ

壁谷式会計を導入した顧問先で、導入前後で最も大きな変化が出た事例があれば教えてください。

いっぱいありますね。借入で言うと、うちが入ったことによって潰れずに済んだという会社は、感覚的に100社ぐらいあると思います。

特に印象的だったのは、2億5000万円あった売上が、会社のトラブルで3000万円ぐらいまで下がってしまった企業ですね。もう潰れそうな状態で、銀行もガチガチ。そのダウンしているタイミングでガンガン支援して、結局今は4億円の企業に復活させました。

3年間で2億円ぐらいの赤字を出していたんですが、キャッシュフローを回すための作戦を立てて、借入や資産の売却、保証協会の別ルートを使うなど、徹底的にやって乗り越えました。これが借入面では一番大きな案件でしたね。

管理会計の面ではいかがですか?

1期目から見ている企業で、今は40億ぐらいに成長した会社があります。最初は売上2000万円ぐらいだったんですよ。

僕が現場に本当に行って、壁谷式の管理会計で営業管理の方法や、一人ごとの損益、一人ごとの生産性を見える化して、その人のボーナスの計算式までも全部一緒に作ったんです。そのやり方と管理の仕組みを一緒に構築して、今も発展させておられますが、今は40億で利益5億とかですね。

すごいですね。何期目ですか?

僕と同じくらいで、13期目か14期目くらいですね。それを一緒に作ってきました。

株式会社打ち出の小槌 – 3つのサービス体系

壁谷公認会計士事務所の組織拡大に伴い、2019年に設立されたのが株式会社打ち出の小槌だ。現在25名の体制で中小企業の経営支援を行っている。

「打ち出の経理」経営伴走サービスとしての経理

「打ち出の経理」とは、どのようなサービスなのでしょうか?

普通、経理というと会計入力をして税理士に渡すとか、支払いを代行するというイメージがあると思いますが、我々がやっているのは「月次会議」なんです。

例えば、1月分を2月の5日か6日に会議しましょうと。そこで月を仮で閉めてしまって、管理会計も作って、その月の意思決定を一緒に考えるんです。「資金繰りがこうなる。2ヶ月後にこうなる。だからここで借入をしておきましょう」みたいな、月次のPL会議をしているイメージです。

よく「経営会議」ってありますよね。その会議を月次で行える環境を作るというのが我々の目的なんです。「5日会議」と我々は呼んでいるんですが、その報告会を我々が担っている。

経営者だけだったら経営者と一緒に今月の意思決定と行動計画を決めるし、もしCFOや財務の人がいるんだったら、数字の見える化をしてあげて彼らが意思決定するのを助ける。入力をして終わりじゃなくて、会議をして意思決定をすることを目的にしています。

「打ち出の税務」と「打ち出の財務」についても教えてください。

「打ち出の税務」では、カベヤ式会計を用いた未来シミュレーションと、独自の分析資料「永続会計」の提供が柱になっています。期中の会計実績に基づく納税予想や、期末に向けた納税対策の提案を通じて、経営者の選択肢を増やすことを目指しています。

また、税務調査リスクを限りなくゼロを目指した対応を実施しており、経営者のみなさんからは「安心できる、心強い!」という声をいただいています。

財務面では、年間200件の借入実行支援を行っており、資金繰り表や事業計画の作成、銀行交渉のポイント提示までカバーしています。また、補助金の提案からヒアリング、申請書類の作成まで一貫して対応しています。

費用感と「合わない企業」の見極め

一般的な税理士と比べて、費用感はどの程度なのでしょうか?

税務単体だとそんなに相場と差はないと思います。税務だと平均5万円から8万円ぐらいの間が多いですね。経営伴走推進サービスだと13万円から15万円ぐらい。

ただ、うちは財務のオプションや経営伴走推進のオプション、社労士の別契約など、サービスを一緒に提案しているので、トータルでは1つのサービスだけより高くなります。

でも価値という観点では、税理士は過去しかやらないので、我々には挑戦したいという経営者さんが来るんだったら、多分トータルでは安くいけると思います。補助金も含めてですね。

逆に、どのような企業が合わないのでしょうか?

もう明確で、受け身の会社です。「壁谷たちが何かやってくれる」と思っている企業は絶対に合わない。

進もうと思っている企業とか、何かやりたくてウズウズしている企業がうちと合います。うちのゴールは「安心して挑戦できる経営環境を提供する」ということをテーマにしているので、社長が挑戦しようとかトライしてみようって思っている会社さんが合う。

逆に言うと、守ろうとか変化なしで行こうと考えている会社さん、あとは依存型で「壁谷お願いした、何かやってくれるわ」みたいな態度の会社は全く何の変化もないので、お断りもするし、最初に半年間走って先方がこういう状態だったら、我々から半年後に断っちゃいます。

そういう会社は今まで何%ぐらいありましたか?

30%ぐらいですね。挑戦のエネルギーをちゃんと持ち合わせているのは7割ぐらいしかいないということだと思います。本当に断りますよ。

他の会計事務所との決定的な違い – 提案力と伴走力

他の会計事務所と比べて、壁谷公認会計士事務所に依頼して本当に良かったというお客様の声があれば教えてください。

「提案をしてもらえるようになった」という声が一番多いですね。

提案というか、「こんなことできますけどやってみませんか」という情報提供を含めてです。補助金が出たんですけど、これやってみますか?やりたいと思えば動くし、今じゃないなってなれば断られますけど、それでも何も言われないよりいい。

提案が圧倒的に増えているという声は相当多いです。実際に「また今月も色々情報もらってありがとうございました」って言われますから。

もう一つの大きな特徴は何でしょうか?

悪い時でも絶対に支えてくれるという安心感を持ってくださっているとよく言われます。

今にも倒産しそうな企業もうちにはいっぱいあるんですよ。そんな時に、社長が本当に望んでいること…例えば、ある社長は「今はそっとしておいて欲しい」という時もあるんです。その時は触れない。「大丈夫です。動きたい時にまた声かけてください」と。

逆に、「本当にこのまま潰れちゃうから事業計画を組み直したい」と言われた時は、「これだと3ヶ月キャッシュが持たないから、先にここでこういう作戦を立てましょう。この話をして、この資料を作って持っていってください」みたいな提案をします。

死にそうな時でも必ず安心して守ってもらえる、ということは言われますね。

長いお客さんで潰れたお客さんはいないと。

長いお客さんでうちと長く付き合っているお客さんで潰れたお客さんはいないです。短いお客さんは、倒産まで行った会社もありますけど。

AI時代における会計事務所の価値「顧問料0円時代」への備え

「顧問料0円時代」が来ると予想されていますが、今後中小企業の経営者が会計事務所に求めるものはどう変わっていくと考えていますか?

僕は本当に税務顧問料0円というのは当たり前になると思っています。

税務顧問料が0円になった時、お客さんが何としても助けて欲しいというのは「意思決定のサポート」だと思っているんです。この状態で苦しい、この状態で進んでいいのか分からない、どうしたらいいという悩み相談をぶつける相手が我々であると。

だから税務ではお金をもらっていないけど、財務でお金をもらっているとか、意思決定サポートの経営伴走推進でお金をもらっているみたいに、他のものに価値が置き換わっていくと想像しているんです。

AIが来た時に、仕訳を切る、決算書を作るというのは無価値化すると思っています。何が唯一残るかというと、「背中を押すこと」だと思っているんです。

この会社は今この状態で行けます、これは行っていいと思います、行くんだったらこの作戦で行くべきです、ということを判断してコンサルティングする。AIも言うかもしれないけど、彼らは過去の文字列で最適っぽく言うだけで、嘘なんです。我々がパッと見て判断したらすぐ分かりますから。

この会社にとっての最適解を一緒に考えて一緒に経営推進していくのが、多分この顧問料0円時代になった時に我々会計事務所が動くべき世界だと思っています。

だから僕は税務契約を含めて5つのサービスを設けていて、税務契約は守りで、残り全部は攻め。経営伴走推進、補助金助成金、労務、財務。これ全部攻めなんです。こっちが価値になっても他のもので、お客さんと関わっていく。全部対応しておきますからというプレイになっていくのが僕はゴールだと思っています。

公認会計士が中小企業を支援する意味

公認会計士は大企業向けというイメージがありますが、中小企業が公認会計士に依頼するメリットと税理士との違いを教えてください。

会計士と税理士はそもそも持っている能力とタイプが違います。勉強してきたことが全部違うんです。

税理士は職人だと思ってください。税理士は税を5科目取っていくと合格になるんですね。1科目ずつ深めるということをやる。一方、会計士は8科目か9科目を一気に受けて、同時合格を取りに行く。だから、容量や視野が必要になってくるんです。

税理士は税の職人です。税金をいかに少なく収めるか、いかに正しく計算するかをやる人たち。会計士はもちろん税の勉強もするし、会計の勉強もするんですけど、例えば管理会計論、経営学、経営論、組織論といった、会社経営をいかに回すかというコンサルティングのことを習っているんです。我々会計士はそれを突破しないと合格できないんですよ。

だから会計士の方が実はコンサルの勉強をしているんです。税理士にはそんなもの一個もないですから。

つまり、経営の相談は会計士に、ということですね。

そうです。税理士には税の相談をしてほしい。会計士には経営の相談をしてほしいんです。

だから中小企業の方々は、本当は税理士には税の相談を、会計士には経営の相談をしてほしいんですよ。経営の相談をしたいんだったら会計士に行ってください、というのが僕の本音です。それだけ勉強してきましたから。

25名で300件 – スタッフが経営者と対等にやり取りできる体制

25名の組織で300件の顧問先を抱えていますが、代表だけでなくスタッフが経営者と対等にやり取りできる体制はどのようにして築かれたのでしょうか?

まず、うちはサービスを分けたというところが大きいですね。昔は全部1本だけだったのでちょっとわけが分からなかったんですよ。僕一人で、僕が面談に出た時は「壁谷」という一つの商品だったので、税務契約をベースにして財務もやれば、コンサルもやれば、管理会計もやればってことをやっていたんですけど、それじゃダメなんです。

だからうちはサービス体系を分けました。税務は税の計算、税を正しく申告することに特化してもらえばいい。財務は借入、事業計画を組むこと、補助金を取ることに特化すればいい。広くコンサルするということから、業務内容を完全に切り分けてしまったんです。

もう一つ特徴的な取り組みがあるそうですね。

うちがちょっと特殊的にやっているのは、「事前勉強会」というのを面談前に開くんですよ。

各メンバーと、面談の3日前に、「今月の数字がこうなっている。この会社はこんな悩みを抱えている。何を相談したらいいんだろうか。何が提案になるんだろうか」ということを面談担当者に考えさせて、僕との面談をやるんです。

すべての顧問先について?

全件です。相当やりますよ、本当に。相当大変だけど、1社3分とか2分で区切ってやるんですけど、バババババッと相当時間取りますけど、それで僕はそこを通じてクライアントの数字を把握しているんです。今は面談に立っていないので。

彼らがそこで考えたことが、僕がパッと見た時に見えている世界と違うんだったら、どう違うのか、これを提案した方がいいよということを教えている。面談にいきなり話すんじゃなくて、一回僕に壁打ちしているみたいなことをやっているのが実は大きいのかなと思っています。

それによって何人かは「壁谷が言ったから」って言って提案ができるじゃないですか。そうすると提案に説得力が出てくるんで。これが育成だと思ってやっています。

採用の際にどういう人材を求めていますか?スキルよりも重視していることは?

熱です。熱量。やる気、熱量。これが一番大事。

うちは挑戦することをして欲しいと社員にも思っているので、挑戦する人材に入ってきてほしいし、挑戦できる能力を持っている子が来てほしいと思っています。

稲盛さんの人生の成功方程式の中にある「考え方×熱意×能力」というのがありますよね。僕も実はそれすごく大賛成なんですけど、やっぱり熱意がないとその子の人生って開かないんですよ。

僕が勝手に開こうとしても無理なんですよね。だから本人が「ちょっと取り組みたいな」って思ってもらわないと人生って開かない。だからそのやりたいなと思ってやりたいって言える子たちがうちにいるといいなと思っているから、そういう採用をしたいですね。

そうすると僕たちは応援するということをやります。福利厚生もしっかりしていますし。

1万件以上の経営相談から見えた「伸びる経営者」の共通点

1万件以上の経営相談をされてきた中で、この会社は伸びると感じる経営者に共通する特徴はありますか?

これはありますね。パッと見た瞬間に分かるというか、今月数字が伸びるかどうかも含めて分かるんですけど、ちょっと表に出せるかどうか分からないんですけど、一番僕が見ているのは「エネルギー」です。

この会社とこの経営者がまとっているエネルギーを見ていますね。エネルギーが伸びる方向に行っている経営者は、「あ、伸びるな」というのが見えるんですよ。

どんな感じなんでしょうか?

やる気があるという目線もそうなんですけど、宙に浮いてなくて現実的な思考を持った上で、失敗してもやり遂げてやろうという想いがある。

ファーストタッチの軽いタッチは大事だけど、この事業の奥に必ずやり遂げてやろうという根の部分。僕の感覚で言う「誠」という感覚なんですけど、その誠の感覚を持っている経営者さんは、実はエネルギーが強くなる傾向があるということが、僕の中で相当経営者さんを見てきて分かってきていて。

僕と本当に会った瞬間に大体分かるんです。この会社伸びるな、この会社来年こうなるな、というのがなんとなく分かるんですよ、今も。それはもう本当にこの人が放射しているエネルギーなんです。

能力や資金力ではないと。

僕が一番大事だと思っているのは、その経営者の能力でも何でもないです。経営者の財務能力とか全然関係ない、財政の力とか全然関係なくて、今お金いくら持っているかも全然関係なくて、この人が前を向いてバーンというエネルギーが出ているかどうかということで見ています。

本当にエネルギーです。

100年続く企業を支えるための「事業承継」戦略

100年続く企業を日本一お手伝いするという目標を掲げていますが、そのためにどのような手を打っていますか?

分社化による事業承継です。

各事業部ごと、もう僕は引退する前提で、任すということをやっています。責任取るのは僕だけど、任すということをやっている。

やっぱりうちの打ち出の小槌というグループ全体は、壁谷の会社じゃないんです。みんなの会社なんだという想いを僕はずっと常々思っているので、100年続くために何が必要ですかというと、若い時にやってしまう事業承継だと思います。

65歳になってから事業承継するんじゃなくて、僕は40代で事業承継するつもりなんです、完全に。

他の会社にもアドバイスするとしたら?

これは他の会社も全部共通なんですけど、本当に会社を長く続けたいと思ったら、40代50代で事業承継させるべきです。それがうまくいくと僕は思っています。

今まで僕が色々お手伝いしましたけど、下にまかせる仕組みがない会社になってしまいますから。70歳になってから動こうとすると、もう基本回らないです。

壁谷さんご自身は、承継後はどのような立場に?

僕で言うと、打ち出の小槌をトップにしてホールディングスにして、残りは全部社長がやるという状態を作る。僕は全体を俯瞰して見て、みんなに任すということをやります。

経営判断で迷った時に立ち返る「判断基準」

経営判断で迷った時に立ち返る判断基準やルールがあれば教えてください。

僕のベースは松下幸之助、稲盛和夫、また致知の本だったり、いろんなものがやっぱり僕のベースで、人間性、人間のところを見ているんですけど、「人として正しい判断かどうか」を見ているという形に戻ります。必ず。

人として正しい判断だから、小学校の道徳で習ったようなこと。嘘をつかないとか、一生懸命やるみたいな、それに照らしてどうっていうのに最後に行き着くんですけど、それはだから致知の本をもう一回読み直して、僕はそこに戻すということをやって判断をするんです。

そこに行くまでの過程があるそうですね。

ノートがあって、そのノートにひたすら書くんですよ。もう今でも書いています。

ノートを使って、自分と毎日向き合っています。かなりもう本当書いていますよ。今日も色々書きました。自分の今の会社の経営のことも書いているし、自分の体というか、エネルギーの状態とかも書いている。

今日パワーが出なかったんです、実際。パワー出ないな、ちょっと緩んでいるなというのを自己対話して、それでもいい。でも仕事として向き合わないといけないところは何だっけ、となんかここで対話をして、自己対話をノートでして、自分の問題点を探しながら「やべえな、これ違えな」って自分の中で洗って、さあじゃあどうするという時に、さっきの致知に戻すみたいな、人間の正しいところに戻すみたいなことをやっています。

面白い取り組みですね。

打ち出の小槌ってあるじゃないですか。大国主命が持っている宝物です。我々は打ち出の小槌と名前を使わせてもらっている以上、「神様基準で考える」ということはよくやります。

大国主命だったらどうやってやるの?松下幸之助ならどうするの、この状態?などもよく僕の中で問いを出すんですけど、それに合わせて「大国主命だったらどうするの?打ち出の小槌の名には恥じない、名前に恥じないようにできてるの?」ということを問います、自分に。

神様としての行動、要は人として正しいことなんですけど、そこに立ち戻るためにその問いをあえて投げていますよね。これは本当うちの名前には恥じない、大国主命には恥じない行動なの、みたいな。名前がそういう名前を使っているからこそ、嘘をついちゃいけないから。

結構そうやって戻しています。これ本当の話で。

そのノートは今何冊目ですか?

100とか200とかじゃないですか?この前のノート、10日間ぐらいで1個終わったんで。今これスタートが1月31日、今日2月15日ですけど、全体の3分の2くらい終わっていますね。

常に持ち歩いて気づいたこと書いたりとか、セミナー行ってなんか感じたこと、学んだこととかもそうだと思うし、自分の心の対話ですよね。

例えば、今の目の前のお客さんを本当に大切にしていかないといけない、今困っている人を本当に大切にしないといけない、みたいなことを自分と向き合っていた記事があったりするんです。で、そういうことを自分に言って、もっと深く関わっていく。もっとお客さんが困っていることは何だか聞いていこう。で、背中をちゃんと押してあげられるような状態に行くには何が必要なんだろうか、みたいなことをここで書いてガーッと向き合っている。

過去も読み返したりするんですか?

読み返さないですよ。でもこれ全部置いてあって、将来僕が死んだ時には博物館に入れてね、みたいな。誰でもいいんですけど、これがお父さんがやってきた記録だぞ、ぐらいな感じ。

相当悩んでいますよ。もう本当ね。妻とか当然このノート、僕全然恥ずかしげもなく見せているんですけど、「バッキャロー」とか書いていますからね。「なめんな、この野郎」とか、そういう人間の感情をめちゃめちゃ出していますよ。「俺はやっちまった」とか、「うわ、くそめんどい」とか。

誰にも見せることもなく、自分の素直な感情を書いている。書いているけど、妻にも見せているし、別に将来博物館に並んでも全然いいよ、みたいな。「あいつ相当弱かった人間だね」ということが分かると思います。

これからの展望 – 1000件のクライアントを目指して

これからの展望で、今300件ですが、もっと増やしたいのか、質を深めたいのか、どちらでしょうか?

両方やりたいです。僕はもっと増やしたいです。

今、目指しているところで言うと、1000社だと思います。今そこに向かって動こうと思っています。グループ全体で、継続契約1000社というところを目指す。

なんでかというと、僕たちがいる意味というのは中小企業を支えるためにいると思っているんです。財務だ、労務だ、税務だ、管理会計だとか色々やっているのも、うちに依頼してくれたらこの会社を救える、絶対見捨てない、救ってやるという気持ちでやっているんで、我々がもっと前に出ないとお客さん救えないと思っているんですよ。

だから、もっと件数を増やさないといけない。

でも質も深めないといけないと。

うちのお客さんが増える最大のスキームは紹介なんです。お客さんからお客さんが紹介してもらえる。本当に今までもこれからも当然そこが肝中の肝になってくる。

そういう意味では質を深めないとお客さんから信頼を得ていないから、やっぱり紹介は出してくれない。全員、困っている人がいたら、お金で困っている人がいたら「壁谷を紹介しよう」って思ってもらえるような関係性をお客さんと作っていく。

それは質を深めることにもつながるんで、だから増やすことと質を深めることが実は連動するんですよ。質を深めると紹介が出てクライアント数が伸びる。これを我々がやっていく感じになるんで、だから両方なんですよね、ここは。

会計事務所を選ぶ際の決めるポイント

会計事務所を変えようか、初めて顧問を探そうかと迷っている方に対して、決めるポイントが一つだけあれば教えてください。

正直、先生方色々いらっしゃっていただいて、「波長が合うかどうか」を見て欲しいということなんですよ。で、「安さやお金で決めるな」ということを言いたくて。

時間単価で動いているんで、安かろう悪かろうです。安かったら提案はない。自力でやってください、という話なんですよ。

やっぱりアドバイスをもらったりするというのは、自分の時間を短縮するため、成功に向かって短縮するためのものなんで、そういったものをもらおうと思うんだったら、お金は惜しんじゃダメなんですよ。

ただ、お金が高い人がいいかというとそうでもなくて、その人に合った感覚の人を探すべきなんですね。

壁谷さんのところに合う人は?

うちで言うとさっき言った、挑戦したいとか何か取り組んでみたい、何か一歩踏み出してこう力強く行きたい。例えば会社を売却したいとか、そういう何でもいいです。何かやりたいって思っている人はうちに来てください。それなら我々全力で支えますと。

だから、まず会社を立ち上げて「なんかちょっとやってみようかな」みたいな、その軽いノリだと多分うちとは合わない。僕たちの方が温度が高くなっちゃう。

だから、最初の人たちとか変えようかなと思っている人は、温度を必ず確認してください。うちは何かやってやろうという人が来てほしい。そういう人に来てもらうと、多分「あ、このような話、今まで先生してくれなかったわ」で、1発でご契約をいただいています。

海外展開とホワイトカラーが生き残る道

海外に1ヶ月ぐらい行かれているという話がありますが、何をされているのでしょうか?

今年もまた1ヶ月ぐらい多分またいなくなりますし、去年とかはアメリカも行ったし、イギリスも行ったし、シンガポールも行ったし、オランダも行ったし、いろんなところに行っているんですけど、例えばアメリカとかだとアメリカのコンサルティングファームとか中に入らせてもらうんですよ。知り合いがいるので。

監査法人とかも入れて見させてもらうと、人がいないんすよ。

人がいない?

どうなっているかというと、AIによって会計士が要らないんですよ。つまり、人がいなくても回る仕組みに変わってきているんです。

会計士の資格の価値がなくなってきているんですよ。もうびっくりするぐらい。僕が2年前に行った時と去年行った時、全然違っていて。「え、AIってこんなに変わるの」ということを去年実は思って、「あ、これ直日本に来るな」って思ったんです。

だから我々も「顧問料0円時代」って言っているのも、多分アメリカではすでに実は起き始めているんですけど、そういったことを予見するのも僕たちがやるべきだし、で、それを僕は仲間の会計士たちにも伝えていて、「やべえ」って話をしている。

ホワイトカラーが今後生き残っていくためにはどうしたらいいでしょうか?

お金を出してくれるのは誰かということを僕は絶対定義するんですよ。我々の業界だと、お金を出してくれるのは経営者、社長じゃないですか。

で、社長が経営のところで何を悩んでいるかというと、もっと稼ぎたい、もっと成長したい、もっと充実させたいと思っているという悩みを持っているんですよ。絶対悩みがある。で、その悩みを解消できるのはAIではできないんですよね。

案は出してくれるけど、最適解が分からないですよ。僕も毎回やりながら、売上の作戦は立てられるけど、本当にこれで会社は回せるのか、この結果これでいいのかということに対する安心感がないので、僕は今後AIが進展した先に、絶対ベットしないといけない僕たちがベットしないといけないポジションというのは、「社長の一番の相談相手になること」。

確かにそれはAIにできないですね。

もうそこ。そこを狙いに行くための打ち出の小槌であるという風に思っているんです。だから、そういうポジションが取れる仕事だけ残そうと思っています。

「挑戦する経営者」の伴走者として

壁谷英薫氏が語る言葉の端々には、中小企業の経営者への深い共感と、彼らを支えるという強い覚悟が滲み出ている。

「100年続く企業を日本一お手伝いする」という目標は、単なるビジョンではない。父や祖父が経営者として奮闘する姿を見て育ち、その孤独と不安を幼い頃から理解していた壁谷氏だからこそ、本気で取り組める使命なのだ。

AIが進化し、「顧問料0円時代」が到来しようとも、壁谷氏が提供する価値は決して色褪せることはないだろう。なぜなら、経営者が本当に求めているのは、過去の数字を整理することではなく、未来への不安を共に乗り越える伴走者だからだ。

「何かやってやろう」という熱い想いを持つ経営者にとって、壁谷公認会計士事務所は最強のパートナーとなるはずだ。そして壁谷氏自身も、その経営者たちと共に挑戦し続ける。それこそが、永続する企業を支える真の「お金の参謀」の姿なのである。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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