「成果が出なければ意味がない」業界でも珍しい”成果報酬型”システム開発の裏側【株式会社VERVE・久保田一代表インタビュー】

企業のDX推進や業務改善において、システム開発の失敗は大きなリスクです。従来の「人月見積もり」によるシステム開発で痛い目を見た経験がある経営者・ビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

本記事では、業界でも珍しい「成果報酬型」のシステム開発を手掛ける株式会社VERVE(東京都渋谷区)の代表取締役・久保田一氏に独自インタビューを実施しました。

公式サイトには載っていない「失敗事例」や「成果報酬で断る基準」、そしてエンジニアの定着を実現する独自の人事評価制度まで、システム発注のリアルと組織づくりの裏側を徹底解剖します。これからシステム開発会社の選び方を検討している方必見の情報です。

会社概要

  • 会社名:株式会社VERVE(ヴァーヴ)
  • 代表取締役:久保田 一
  • 設立:2007年12月10日
  • 事業内容:
    • システム開発・設計
    • IT戦略・業務コンサルティング
    • モバイルメディア企画・開発・運用・マーケティングなど

創業ストーリー最大のピンチを救ったのは、去っていった担当者だった

久保田氏が起業して最も苦しかった時期は、創業2年目のことでした。あるプロジェクトが8〜9割ほど完了していたにもかかわらず、突然中止になるという事態に見舞われました。当時は契約の縛りも甘く、一切の報酬を回収できずに泣き寝入りするしかない状態だったと言います。プロジェクト中止の理由は、先方の担当者が退職してしまい、後任の担当者が事情を知らずに「いらない」と判断したためでした。

しかし、この最大のピンチを救ったのは、皮肉にも退職した元の担当者でした。VERVEの成果報酬型というビジネスモデルと久保田氏の姿勢を高く評価していたその担当者は、「そんな会社を潰すわけにはいかない」と新しい大規模な案件を持ってきてくれたのです。この案件によってVERVEは一気に窮地を脱し、現在の事業成長へと繋がりました。

事業の特徴「作ること」ではなく「結果」にコミットする

株式会社VERVEの最大の特徴は、システム開発を「人月(エンジニアの稼働時間)」ではなく「成果報酬型」で引き受けている点です。お客様の要望に対してプラスアルファの価値をワンストップで提供することをモットーとし、お客様の抱える経営課題を根本から分析して、企画から運用保守に至るまでサポートします。

競合他社が「指定された要件をそのまま作り、エンジニアが動いた分だけ請求する」のに対し、VERVEは「システムを導入することでどれだけ売上が伸びるか、コストが削減できるか」という結果にコミットします。エンジニアを無駄に動かさずに結果を出すことがVERVEにとっての利益となるため、不要なシステムであれば「別の方法」を提案し、時には開発自体をストップさせるアドバイスができるのが最大の強みです。

インタビューQ&A

Q. 成果報酬型で引き受けられない案件はありますか?どのような条件でお断りするのでしょうか。

基本的に「費用対効果が合わないもの」と「目的が不明瞭なもの」はお断りしています。売上拡大や業務改善が目的であっても、開発コストを事業計画内で回収できないと見込まれればやる意味がありません。また、現場の業務改善において「何を何時間削れるのか」といった事前の棚卸しができない案件も同様です。

補助金絡みの案件など、どうしても受託開発の形式で請求せざるを得ないケースもありますが、事業として成立しない場合は「他の開発会社に頼んでも意味がない」とはっきりお伝えしています。

Q. 過去に成果報酬で引き受けたものの、想定通りの成果が出なかった失敗ケースはありますか?

現場の棚卸しを徹底して行う業務改善案件では想定外の事態は少ないですが、売上拡大を狙ったサービス販売などでは「思ったより売れなかった」というケースはあります。過去一番ひどかった失敗事例は、「ECサイトを作ったのにクライアントが商品登録をしなかった」というものです。

これは完全な怠慢であり、現在ではこのような事態を防ぐため、誠意を持って運用されなかった場合は費用を請求させていただく旨を契約書に記載するようにしています。

Q. 成果報酬の掛け率や条件はどのように決めているのですか?

基本的な目安として、「24ヶ月(2年)以内で回収できるかどうか」を基準に設定しています。例えば月間100万円のコスト削減が見込めるなら、2400万円の価値があると試算します。数ヶ月のズレで悩むことはなく、1年以内で回収できるか、何十年経っても回収できないか、両極端に分かれることが多いですね。

Q. 依頼内容と全く違うシステムを提案して、クライアントと意見が対立することはありませんか?

クライアントの最初の相談内容を紐解いていくと、そもそも「相談の仕方が間違っている」パターンがほとんどです。例えば、既存ツールのURLを送ってきて「これと同じシステムを作りたい」と言いながら、実際の要件定義書を見ると全く違う目的になっていたりします。

私たちは経営者だけでなく、「現場の担当者」から徹底的にヒアリングを行います。中小企業の経営者は現場の実態を正確に把握していないことが多く、経営者の言葉を鵜呑みにして作ると、現場で全く使われないシステムになってしまうからです。現場のリアルな声を聞いて目的をすり合わせるため、最終的には双方が納得して進行できます。

Q. 退職者が少ない組織づくりについて伺います。「売上の何%が給与になるか事前にわかる」仕組みとはどのようなものですか?

半年に1度、スタッフ自身が「次回目標のためにこういうことをやり、会社の売上にこれだけ貢献するから、自分の給料をこれくらいにしたい」と自らプレゼンして目標設定を行う仕組みを導入しています。そして、それを実行できたかどうかが評価結果に直結します。

これは私がエンジニア時代に「こういう評価制度があったらいいな」と思っていたものを形にしたものです。自ら階段(ステップ)を描き、納得して目標を設定するため、社内から不満が出にくい仕組みになっています。その結果、導入以来6年間離職者ゼロを達成しています。

Q. 採用活動において、「技術力よりマインドの一致」を重視している理由は何でしょうか?

技術的なスキルは話を聞けばいくらでも判断がつきますが、大切なのは「なぜエンジニアをやるのか」「社長の思いや組織のビジョンに共感できるか」という本音の部分です。面接用に準備しただけの綺麗な言葉は、掘り下げるとすぐにボロが出ます。

「AIが流行っていて稼げそうだから」といった理由でも構いませんので、自分の思いを本音で語れるかを重視しています。技術はあくまで手段であり、思いがないと厳しい環境を乗り越えられないからです。

Q. 株式会社スターガレージ(ASO対策事業)をM&Aで取得されましたが、知らない事業を買収する判断の決め手は何でしたか?

当初、スターガレージの創業者はASO対策のツールを開発しようとしていましたが、「そのツールを使うプロが世の中にいない」ことに気づかず資金繰りに窮していました。使われない開発資産の価値はゼロですが、私は「開発を中止し、ツールではなくASOのコンサル事業として展開すれば必ずニーズがある」とアドバイスしました。

開発費を止めれば黒字化できる状態だったため、借金を肩代わりする形で事業を引き継ぎました。最初から買収を狙っていたわけではなく、事業を正しく導くための判断でした。

Q. AIやノーコードが普及する中、システム開発事業の将来をどう見ていますか?

全く脅威に感じておらず、むしろ我々にとっては追い風です。人月(工数)で売上を立てている受託開発会社は、生成AIやノーコードによって工数を削られるため脅威になるでしょう。しかし、私たちは成果報酬型であり、リソースを削減して結果を出すことが利益に直結します。

言われたものをそのまま作るだけのエンジニアは淘汰されますが、クライアントのCTOのような視点で「このシステムは本当に必要か」「どう具現化するか」を設計・企画できる企業は生き残ると考えています。

Q. 過去のシステム開発(人月見積もり)で痛い目に遭い、成果報酬型への乗り換えを検討している企業へアドバイスをお願いします。

乗り換え(引き継ぎ)の相談に乗ることもありますが、実際には「ゼロから作り直した方が安い」場合がほとんどです。前の開発会社が目的からズレた作り方をしていたり、将来的なアクセス増やデータ量増大に対応できる設計になっていなかったりして、コードが極端に重くなっているケースが多いからです。

単に教科書通りに動くシステムを作るのと、同時アクセスを素早く処理できるシステムを作るのでは、技術力に雲泥の差があります。まずは目的を明確にし、正しい会社選びをすることが何より重要です。

経営者の価値観「ユーザーファースト」を貫く本気の経営者と伴走する

久保田氏が経営において最も大切にしているのは、「使うユーザー(2Bであれ2Cであれ)のことを見据えているか」という視点です。「儲かるから」というお金儲けのゲーム感覚だけで事業をやっている経営者とは、システム作りの目的が根本からズレてしまうため、あえて組みません。

本当に良いサービスを作りたいという強い思いがあり、その結果としてキャッシュがついてくるような、本気の経営者と伴走することを経営哲学としています。

今後のビジョン成果報酬モデルを「組織課題」の解決へ

現在、システム開発の分野で提供している成果報酬型のモデルを、将来的には「人材の定着」など組織課題の解決分野にも応用できないかと試案しています。

また今後は、システム開発という枠を超え、これまでの経験を生かして若いスタートアップ企業や中小企業を包括的に支援する「経営コンサルティング」の領域にも挑戦し、企業の成長を多角的にサポートしていきたいというビジョンを描いています。

読者へのメッセージ

「自社の規模が小さいから成果報酬のシステム開発なんて頼めない」と勝手にハードルを上げて誤解されている方もいますが、個人事業主のような小さな規模からご相談いただき、最終的に上場まで成長したクライアントの事例もあります。

システム化によって業務が劇的に改善し、売上拡大につながる可能性はどんな企業にも必ずあるので、規模を気にせずぜひ気軽に相談してほしいと考えています。

まとめ

  • VERVEは「人月」ではなく結果にコミットする「成果報酬型システム開発」を提供
  • 徹底した「現場ヒアリング」を重視し、目的がずれていれば不要な開発は断る
  • 社員が自分で目標と給与をプレゼンする独自の人事評価制度を採用
  • AIやノーコードの波は、工数を削って結果を出す成果報酬型モデルには最大の追い風
  • 目先の利益ではなく、「ユーザーファースト」を貫く本気の経営者との伴走を望んでいる

こんな企業におすすめ

  • 従来の「人月見積もり」や追加開発で痛い目を見た経験がある企業
  • DX推進や業務改善を何から始めればよいかわからない中小企業・スタートアップ
  • 自社の外部CTOとして、経営視点からハッキリと意見を言ってくれるパートナーを探している企業
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