周囲の猛反対から始まった創業ストーリー。スリーイーグループ北中彰代表が描く「日本とアジアの架け橋」

日本が直面する深刻な少子高齢化と労働力不足。この国家的な課題に対し、真正面から解決に挑んでいるのが株式会社スリーイーホールディングスです。
同社は単なる人材紹介会社ではなく、代表の北中彰氏の強力なリーダーシップのもと、ミャンマーに莫大な投資を行い、現地で圧倒的なシェアを獲得しています。
本記事では、公式サイトには載っていない、北中氏のリアルな葛藤や失敗、そして業界の「闇」に対するクリーンな戦い方を、独自インタビューから紐解きます。
この記事でわかること
- スリーイーホールディングス創業の裏側と、海外人材事業へ大きくピボットした背景
- ミャンマーでの3つの大危機(コロナ・クーデター・出国規制)と、それを乗り越えた経営判断
- 日本の労働力不足(特に介護領域)に対する、ミャンマー人材の優位性
- 悪質な仲介業者が蔓延する業界において、北中氏が貫き通した利他の経営哲学
会社概要
- 会社名:株式会社スリーイーホールディングス
- 代表者:代表取締役社長 兼 グループCEO 北中 彰
- 設立:1990年12月1日
- 事業内容:海外エンジニア派遣、海外人材紹介、オフィス用品事業
- 公式サイト:https://www.3ec.jp/
1.周囲の猛反対を押し切った創業と、事業転換の決断

北中彰氏は、三重県亀山市の出身で、中央大学法学部を卒業後、IT企業のCSK(現SCSK)に入社しました。その後、22歳でインクリボンの輸入販売を開始し、30歳(1990年)で独立・起業を果たします。
当時のプリンターメーカーが、プリンターごとに形の違うカートリッジを高値で売っていることに疑問を持ち、価格を安く提供するリサイクルトナービジネスのパイオニアとして事業を拡大させました。
しかし当時の日本は、脱サラして起業することが一般的ではない時代です。会社を辞めて起業するという決断に対し、周囲は猛反対。家族に心配をかけたくないという思いから、最初は家族にも秘密にし、支援を一切受けずに自己資金のみで事業をスタートさせたという過酷な原体験を持っています。
その後、幾多の失敗や億単位の損失を経験しながらも、ピーク時には売上87億円を達成する事業へと成長させました。
2. ミャンマーで圧倒的シェアを誇る理由

現在、同社の成長エンジンとなっているのが、ミャンマー人材の紹介・派遣を行う「海外人材事業」です。
最大の特徴は、徹底した健全性と圧倒的な規模。業界には、労働者本人から多額の借金を背負わせて日本へ送り出す悪質な機関や、裏金・接待を要求するブローカーが多数存在していました。
しかし同社は、そうした不透明な要求を一切拒否し、労働者に不当な負担をかけないクリーンな事業運営を貫いています。
さらに、ミャンマー国内で1万人規模の待機人材を抱え、他社を圧倒する採用力を持ちます。これを実現しているのは、ミャンマー現地での人材募集・教育・管理、そして日本側での営業体制に対し、総額10億円以上の莫大な投資を行ってきたからです。
日本語教師33名による専門チーム体制で、質の高い日本語教育を提供しています。
特に、日本が最も人材不足に悩む介護領域において、ミャンマー人材は非常に高い価値を提供しています。世界中で介護職が不人気な中、国民の9割が仏教徒であるミャンマー人は「現世で徳を積む」という教えから、介護の仕事を希望する人が非常に多いという稀有な特徴があります。
インタビューQ&A
ここからは、北中氏へのインタビューを通じて、ミャンマー進出の背景や事業のリアルな裏側に迫ります。
Q. オフィス用品事業から、なぜ海外人材事業、それも「ミャンマー」へ進出されたのでしょうか?
北中氏. プリンターのカートリッジ事業がいずれ衰退していくことを確信し、海外での新規事業を模索していました。
様々な東南アジアの国を視察しましたが、ミャンマーを訪れた際、私が幼少期に過ごした三重県の田舎のような、古き良き日本の原風景が残っていると感じたのです。
素朴で信心深く、犯罪も少ない。他の国では警戒が必要なことも多かったですが、ミャンマーの国民性は日本と非常に親和性が高いと確信し、進出を決断しました。
Q. ミャンマーでの事業立ち上げにおいて、最も困難だったことは何ですか?
北中氏. 2019年にようやく黒字化した直後、2020年からの数年間で3つの大きな試練に見舞われました。
1つ目はコロナ禍です。事業拡大のためにビルを3つ借りてアクセルを踏んだ途端に事業停止命令が出され、月に約2,500万円の赤字が出始めました。
2つ目は2021年の軍事クーデターです。市街戦で死傷者が出るような凄惨な状況となり、インターネットも遮断され、日本人スタッフは全員帰国せざるを得なくなりました。
3つ目は、労働者の出国規制です。日本への行き先が決まっていた2,000人の人材が、突然出国できなくなる事態が発生しました。
Q. クーデターという極限状態の中、事業からの「撤退」ではなく「継続」を選んだのはなぜですか?
北中氏. 大変な状況下でも、私たちはミャンマー人スタッフを「解雇しない」という決断を下しました。
社員を大切にするという思いから、自主退職以外の解雇は一切行わずに事業を継続した結果、現地からの深い信頼を得ることができました。
また、日本人スタッフがいない環境下で、優秀なミャンマー人スタッフたちが自立して組織を回せるようになったという予想外の成長もありました。
Q. 悪質な送り出し機関が問題視される中、御社が貫いてきた信念を教えてください
北中氏. 労働者から莫大なお金を取り、借金漬けにして日本へ送る機関が多いことが最大の社会問題です。
日本に来ても借金を返せず、犯罪に手を染めてしまう構造があり、これが排外主義を生む原因になっています。
10年ほど前は、裏金や接待を要求してくる仲介業者ばかりでした。しかし私たちは、労働者本人に負担を強いるような行為は悪の根源だと考え、不当な要求を全て断ったため、当時は10件中8件の取引を失いました。
それでも私たちは、一切の不正を排除し、健全なルートで日本に人材を送り出すことを徹底しています。
経営哲学
北中社長の経営の根底には、稲盛和夫氏の「盛和塾」で学んだ経営哲学が強く根付いています。
特に「目標を立て、それを絶対に達成するという強烈な願望を持つこと」「誰にも負けない努力をすること」「経費を最小限にすること」「値決めを失敗しないこと」といった『経営の原点12ヶ条』を重要視しています。
また、事業を通じて「どれだけ社会に大きく貢献できるか」を経営者人生の集大成として位置づけています。リサイクルトナーでコスト削減に貢献したように、現在は「ミャンマー人材で日本の労働力不足を救う」という巨大な社会課題の解決に人生を懸けています。
今後のビジョン

日本の労働人口は、現在の約7,400万人から、2065年には4,529万人へと激減し、約2,800万人の労働力が消失すると予測されています。
AIやロボットで半分を補えたとしても、残り1,400万人は外国人材に頼らざるを得ないのが現実です。
スリーイーグループは、この必要とされる外国人材の供給において、ミャンマー人材の15%を獲得し、日本社会へ供給していくという高い目標を掲げています。
そして、数年以内の上場を目指し、確固たる社会的インフラとして次世代へ事業をバトンタッチすることが、北中氏の描く未来の設計図です。
まとめ:読者へのメッセージ
「歓迎すべき外国人には、もっと日本で働いていただく。これが非常に重要です。」
北中氏は力強く語ります。日本社会と親和性が高く、日本語学習意欲も極めて高いミャンマー人材は、まさに日本が歓迎すべき人材です。
彼らが日本で活躍できる機会をさらに増やすために、同社は現在月間約120名にとどまっているマッチング数を、将来的に10倍へと引き上げる組織作りを進めています。
【こんな企業におすすめ】
・慢性的な人手不足に悩む介護・外食・宿泊・食品工場などの労働集約型の企業
・初めて外国人材の受け入れを検討しており、信頼できるクリーンな送り出し機関を探している経営者・人事担当者
・「安かろう悪かろう」ではなく、教育体制が行き届き、日本文化との親和性が高い人材を中長期的に採用したい企業
安定した既存事業に依存せず、常に時代の先を読み、困難な市場へ大胆にピボットしたスリーイーホールディングス。
絶望的な状況下でも現地スタッフを守り抜き、不正が横行する業界慣習に屈しなかったそのクリーンな経営姿勢は、人材不足に悩む多くの日本企業にとって、力強い希望の光となるはずです。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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