月200万のコスト削減も。XRとAIで社会のバグを直す、株式会社アーティフィス 長野年起社長の経営哲学

この記事でわかること

  • 日本へのiPhone初上陸時代からAR/VR開発を牽引してきた企業の裏側
  • 月200万円の人件費を削減した、AI×OCRによるリアルな業務改善事例
  • 大阪万博関連案件や、特許技術取得に至る知られざるストーリー
  • AI時代において「導入に成功する企業」と「失敗する企業」の決定的な違い

なぜこの企業に注目すべきか
AIシステム開発が乱立する昨今、表層的なツール導入で終わってしまうケースは少なくありません。株式会社アーティフィスは、AR/VR黎明期から15年以上にわたり新規性の高い技術を社会実装してきた実績を持ちます。

エンタメ領域の大型VRアトラクションから、泥臭い工場の業務改善システムまで幅広く手掛ける同社は、いかにしてAIを「真の業務効率化」に繋げているのか。代表取締役社長である長野年起氏の経営哲学と、リアルな現場のエピソードに迫ります。

会社概要

  • 会社名:株式会社アーティフィス / ARTIFICE,inc.
  • 代表者:代表取締役社長 長野 年起
  • 設立:2010年
  • 本社:大阪府大阪市都島区中野町
  • 事業内容:AIシステム開発、AR/MRアプリ開発、VRアプリ/アトラクション開発、ホログラム/プロジェクションマッピング、iPhone/Androidアプリ開発、各種センサー組込開発

代表者経歴
ゲーム開発会社の株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪(現:株式会社コナミデジタルエンタテインメント)で、数々のタイトルの3DCG制作を担当し、その後、大日本印刷株式会社でWEBとDTPの仕事を経て2010年に弊社を創業し独立。

独立後は、iPhone/Androidアプリ開発を主に行い、スマートフォン黎明期にARやVRなど新規性の高い開発を進めていく。

 創業ストーリー

ファン的な信用から始まった起業

株式会社アーティフィスの出発点は、長野社長の技術と人柄に対する「個人の信用」にありました。コナミや大日本印刷といった大手企業での経験を経て独立する際、前身の会社時代からのクライアントは「会社」ではなく「長野氏個人」についてきていたと言います。

「独立されるなら長野さんに仕事をお願いしたい」という声に後押しされる形で、アーティフィスの歴史は幕を開けました。その後、スマートフォンの登場という時代の転換点において、いち早くARやVRといった新規領域に飛び込んでいきます。

「夢物語だ」と笑われた過去と、直面した経営のリアル

「昔は夢を語ると『できるわけがない』と言われた」。これはアーティフィスの経営理念にも通じる背景です。学生時代から「世界を平和にしたい」といったスケールの大きな夢を語る長野氏に対し、冷ややかな視線を送る人も少なくありませんでした。

しかし、長野氏はそれを意に介さず前進を続けます。 もちろん、順風満帆なだけではありませんでした。過去には、業界最大手のエンタメ製造企業からのデジタル制作案件で、相手先の資金繰り悪化により未回収(焦げ付き)が発生。

先輩経営者に相談し、差し押さえ寸前まで追い込まれたという苦い経験も味わっています。そうした生々しい経営の荒波を乗り越え、同社は盤石な地盤を築き上げてきました。

事業の特徴

堅牢なセキュリティ意識と「社会のデバッグ」

 同社の強みは、派手なXR技術(AR/VR/ホログラム)の裏側にある「地味で確実なシステム開発力」です。

発電所の基幹システムや工場の業務改善システムを手掛けてきた知見から、情報漏洩やサイバー攻撃への強固なセキュリティ対策を標準装備しています。

長野氏は「AIシステムを裸のままでWeb上に出すのは非常に危険」と警鐘を鳴らし、安全面を担保した開発がクライアントからの強い信頼に繋がっています。

特許戦略による技術の保護

これまでに開発した新規技術は、積極的に特許を取得して模倣を防いでいます。テーブルへの投影に特化したプロジェクションマッピングの特許などはその一例です。

これは、スマートフォン登場前から位置情報ゲームの特許を持っていた「特許の師匠」からの教えであり、クライアントへの信頼保証と強力な営業の武器となっています。

少数精鋭の自頭の良いエンジニア集団

社内は5名という少数精鋭のエンジニア体制で構築されています。AIを扱う上で最も重視しているのは「自頭の良さ」。

「AIの登場で手に職の価値が変わりつつある今、自頭が良い人間であれば圧倒的な速度で成長できる」と長野氏は語ります。

インタビューQ&A

Q. 2015年、某大手テーマパークの中国展開でVRアトラクション開発を共同で手掛けられました。この経緯を教えてください。

A. 某大手テーマパークの社長と親交があったのがきっかけです。

当時、現地のテーマパークにはコンプライアンスや安全面に課題がある筐体(少し角度を変えると怪我をするようなもの)が存在していました。

そこで、技術と安全面を正しくコントロールできる私たちが手伝うことになりました。

Q. XR(AR/VR)開発から、AIシステム開発へと事業を大きく拡張された理由は何でしょうか?

A. ARやVRは派手で分かりやすいため前面に出してきましたが、実は発電所の基幹システムや工場の業務改善など、裏側では地味なシステム開発もずっと手掛けてきたんです。

AIの登場により、その地味な業務改善の領域を劇的に変えることができるようになりました。「時代がAIを求めている」と判断し、AIを主軸に押し出す形にしました。

Q. 卸業A社での「月200万円の手入力コスト削減」という事例について、詳しく教えてください。

A. その企業では、明細書や発注書のデータ入力を毎月10人ほどのスタッフが手作業で行っており、莫大な人件費(月200万円)とミスが発生していました。

そこに当社の「OCR+AI補完システム」を導入しました。スキャンするだけでAIがOCRの認識結果を100%の精度に補正し、数日かかっていた作業が数分で完了するようになりました。AIによって世界が色濃く変わることを実感した案件ですね。

Q. 医療、製造、不動産など、非常に幅広い業種に対応できるのはなぜですか?

A. 業種が違っても、「事務作業」や「属人的な作業のボトルネック」は共通しているからです。

売上管理や在庫管理など、汎用性の高いシステムの土台を作りつつ、業界特有のカスタマイズを行うことで、多業種への対応を実現しています。

Q. 大阪万博の「AI自動翻訳ディスプレイシステム」はどのような経緯で生まれたのですか?

A. 以前からお取引のあったメーカー様からのご依頼です。

「AIでこんなことができますよ」と提案したところ、パビリオン用の自動翻訳としてぜひ作ってほしいと。

現場のWi-Fiが不安定だったため、独自のWi-Fiを導入して運用させるなどの工夫を凝らしました。

Q. ズバリ、AI導入に向いていない企業の特徴はありますか?

A. 「AIのせいにする人」や「AIを絶対視する人」は向いていません。

AIは平気で嘘(ハルシネーション)をつきます。だからこそ、人間が見直し、人間の意思決定による出力物としてコントロールするシステム設計が必要です。

性格的に「全部AIにお任せしたい」という方は、AI活用には向いていないと思います。

経営者の価値観

「社会のデバッグ」で理想の未来を

長野氏が技術を通じて実現したいのは、「社会のデバッグ」です。「現在、さまざまなITツールや技術が社会に導入されていますが、バグが起こっている箇所が非常に多い。

それを正しく、当初のコンセプト通りに動くように直していくことが私たちの使命です」と語ります。

経営哲学の根底にある「因果応報」

長野氏が影響を受けた書籍として挙げるのが、ナポレオン・ヒルの著作です。「成功者には共通点があり、それは『因果応報』です。

人を嬉しくさせ、楽しくさせ、幸せにする行動をとれば、巡り巡って自分にも返ってくる。これは私が経営において非常に大切にしている考え方です」。

クライアントはもちろん、自社のスタッフに対しても「絶対に幸せにする」という強い覚悟を持っています。

今後のビジョン

パートナー企業と共に儲け、良い社会を作る

5年後、10年後のビジョンについて、長野氏は自社の規模拡大への執着を見せません。

「自社を単に大きくするのではなく、取引先やパートナー企業と一緒に儲けて、良い社会を作っていきたい。私たちが開発した技術によって、パートナー企業が業界内で確固たる立ち位置を築けること。それが私たちの理想です」と力を込めます。

数ヶ月単位で激変するAI業界において、ただのシステム提供者ではなく、ともに伴走する技術の要として、アーティフィスは新たな挑戦を続けています。

読者へのメッセージ

「まずは知ることから。私たちがサポートします」 

「AIの知識がなく、何から始めればいいか迷っている企業の担当者の方へ。知識がない状態では、何ができるかも分からないのが当然です。

当社では無料のセミナーなども開催していますので、まずは『具体的にこんなことができるんだ』と知ることから始めてみてください。そこから夢が広がっていくはずです。そのお手伝いをさせていただければと思います」

まとめ

この記事のポイント

  • アーティフィスはiPhone上陸時からXR開発を手掛け、確かな技術力と特許に裏打ちされた企業である。
  • 属人的な手入力作業をAI×OCRで自動化し、月200万円のコスト削減を実現するなど、地に足の着いた業務効率化が得意。
  • 「AIを盲信せず、人間がコントロールする」という堅実なセキュリティ意識と哲学を持っている。
  • 経営者である長野氏は「社会のバグを直し、関わる人を幸せにする(因果応報)」という強い信念を持っている。

こんな企業におすすめ

  • 毎月のアナログな事務作業や手入力作業に多大な人件費をかけている企業
  • AIを導入したいが、情報漏洩やセキュリティリスクが不安な企業
  • リスキリング助成金や補助金を活用して、賢くシステム開発を行いたい企業

DXやAI導入で行き詰まりを感じている方は、一度「夢物語を現実に」するアーティフィスの技術力に触れてみてはいかがでしょうか。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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