「ただの印刷会社で終わらない」株式会社光陽社の強みと新規事業開発の裏側|八木浩志氏インタビュー

この記事でわかること

  •  製版日本一のルーツを持つ光陽社の歴史と、圧倒的な品質の理由 
  • 激動の印刷業界を生き抜く「環境配慮(SDGs)」と「物流支援」の新戦略 
  • 2026年4月に決定した東証での上場廃止の「本当の理由」と盤石な経営基盤
  •  次世代を見据えた「総合印刷業」としての将来ビジョン

なぜこの企業に注目すべきか

 昭和24年(1949年)創業の株式会社光陽社は、もともと「製版業」において日本屈指の実績を誇った老舗企業です。

ペーパーレス化やデジタルシフトにより印刷業界全体が縮小傾向にある中、同社は圧倒的な色調再現技術と、他社に先駆けた環境配慮型印刷(カーボンニュートラル対応)で異彩を放っています。

本記事では、同社で西日本エリアを統括する取締役・八木浩志氏に独占インタビューを実施。IR資料や公式サイトだけでは見えてこない新サービス開発の裏側や、経営者としての本音に迫ります。

品質にこだわるブランド担当者や、SDGs経営を推進するリーダー必見の内容です。

会社概要

会社名: 株式会社光陽社
代表者: 代表取締役社長 犬養 岬太
設立: 昭和24年(1949年)
事業内容: 総合印刷業(Creative、Printing事業、独自の環境配慮型高品位印刷「The Favorite 2」、トータル物流サービス「プリロジ」の提供など)
拠点: 東京、大阪、名古屋、飯能(飯能プリンティングセンターBASE)

創業ストーリーと若手時代の奮闘

なぜ入社したのか:コネクションから始まったキャリア

 八木氏が光陽社に入社したのは昭和63年(1988年)。その経緯は意外なものでした。

「当時の創業者である片山社長と、私の叔母が友人だったというコネクションです(笑)」と八木氏は振り返ります。

当時の光陽社は印刷業というよりも「製版業」の毛色が強く、日本ナンバーワンの利益を叩き出し、翌年には上場を控えていた超優良企業でした。

厳しい下積みが育てた経営者としての礎 

大学卒業後、八木氏は地元の神戸事業所に配属されます。そこで待っていたのは、想像を絶する多忙な日々でした。「定時が夜の10時といった感覚で、土日も休まず働きました。

そして何より、配属先の上司が非常に厳しかったんです」。 しかし、この厳しい指導こそが、八木氏のビジネスパーソンとしての土台を作りました。

「もし優しい上司の下に配属されていたら、途中で辞めていたかもしれません。最初に徹底的に鍛えられたからこそ、今の私があると深く感謝しています」。

事業の特徴

競合との違い:製版由来の「圧倒的な色調再現力」 

光陽社の最大の強みは、画像を調整する確かな技術力です。アパレルブランドなど、生地や革の微妙なディテール、現物との完璧な色合わせ(再現性)を求めるクライアントから絶大な支持を得ており、一度利用するとリピーターになるケースが後を絶ちません。

強み:環境配慮型印刷と新ワークフロー「The Favorite 2」

 SDGsへの取り組みにもいち早く注力。印刷工程で発生するCO2を可視化し、削減・相殺する「カーボンゼロプリント」「カーボンニュートラルプリント」を自社開発しました。

また、独自開発の高品位ワークフロー「The Favorite 2(ザ フェイバリット セカンド)」により、かつては管理が難しく高コストだった高精細印刷を、安価かつ安定して提供することに成功しています。

提供価値:物流まで一貫して担う「プリロジ」

 2026年4月には、印刷物の在庫管理から必要な分の納品までをトータルで請け負う物流サービス「プリロジ」を開始。顧客の手間と保管コストを劇的に削減する新たな価値を提供しています。

インタビューQ&A

【転機】阪神・淡路大震災と「出稼ぎ」戦略

Q. 役員に就任されるまでのキャリアで、最も大きな転機は何でしたか?

A. 回答 間違いなく阪神・淡路大震災ですね。

当時私は神戸で働いていましたが、震災から2〜3年経つと、地元の企業が東京や大阪へ本社を移し、下請けだった私たちの仕事がみるみる減っていきました。

「このまま下請けをやっていてはダメだ」と奮起し、自ら東京へ出稼ぎのような形で飛び込み、エンドユーザーの新規開拓を始めました。

市場がまだ完全に冷え切る前に業態改革に踏み切れたことで成果が上がり、一番小さかった神戸事業所が「全社のモデル事業所」と呼ばれるまでになったんです。その結果、43歳で最年少役員に抜擢されました。

【強み】圧倒的な品質を生む「The Favorite 2」

Q. 御社を選ぶクライアントの決め手は何でしょうか?

A. 回答 一番はやはり「品質」です。

私たちは元々製版会社なので、画像調整の技術が他社に比べて圧倒的に優れています。 それを象徴するのが独自開発のワークフロー「The Favorite 2」です。

かつて、高精細な印刷技術(FMスクリーンなど)が流行した時期がありましたが、管理が非常に難しく、コストもかかるため業界に定着しませんでした。そこで当時の社長が「お手軽に高品位な印刷を提供できないか」と開発したのがこの仕組みです。

この技術により、安定した高品質印刷を他社にない手軽さで提供できるようになりました。

【環境】義務ではなく「本心からやりたいこと」

Q. 環境対応(SDGs)に非常に力を入れていますが、社内での反発はありませんでしたか?

A. 回答 まったくありませんでした。

当社は昔から環境配慮に取り組んできた土壌がありますし、社会貢献であると同時に営業の強い武器にもなるため、非常にスムーズに進みました。 当社では見積もりを出す際、印刷物を作る過程でどれだけCO2が出るかを明記します。

その上で、自社努力で排出を抑えるプランや、森林クレジットを活用して実質ゼロにする「カーボンニュートラルプリント」を提案しています。上場企業様など、環境配慮を重んじる企業様に非常にフィットしています。

この仕組みを業界全体に広げるため、当社の犬養社長は「日本サステナブル印刷協会」を立ち上げ、ノウハウを惜しみなく他社にも提供しています。

【新規事業】「プリロジ」と飯能プリンティングセンターBASE

Q. 新たな物流サービス「プリロジ」を開始した背景を教えてください。

A. 回答 印刷工場にまとまった空きスペースができたことがきっかけです。

印刷物は一度にたくさんロット生産する方が単価を抑えられますが、お客様の側に「在庫を置いておく場所や管理費用」という負担が生じます。

そこで、当社が在庫を持ち、必要な時に必要な分だけ納品する形にすれば、お客様にはメリットしかありません。制作・印刷から倉庫管理・物流までを一貫して請け負うことを、私たちの新たな強みにしたいと考えました。

Q. 飯能プリンティングセンターBASEを開設した理由は何ですか?

A. 回答 以前の工場が手狭になったことと、飯能市からの誘致で非常に良い土地が見つかったためです。

印刷機は非常に重いため、地盤の強さが絶対条件なんです。現在は完全デジタル化され、女性も働きやすい非常に近代的でクリーンな工場になっています。かつての「印刷工場=3K」というイメージは完全に過去のものですね。

【経営】東証上場廃止の真相と経営の健全性

Q. 2026年4月に東証での上場廃止が決定しましたが、その背景をお聞かせください。

A. 回答 当社は元々、平成の時代に大証(大阪証券取引所)の基準で上場しました。

その後、大証が東証に吸収されたことで、自動的に東証に移行し、求められる上場基準が格段に上がってしまったのです。 当社は安定株主が多く、市場に出回る「流通株式数」の基準を満たすことができませんでした。

つまり、業績不振や財務状態の悪化で廃止になったわけではなく、あくまで株式の流通量という基準上の問題です。対策として昨年、名証(名古屋証券取引所)のメイン市場に上場しており、経営状態は極めて健全ですのでご安心ください。

経営者の価値観

大切にしている考え:座右の銘は「顧客目線」

 八木氏が経営や仕事において最も大切にしているのは「顧客目線」という言葉です。

単なる印刷物の納品にとどまらず、顧客が抱える在庫リスクや環境対応への課題にまで踏み込み、解決策を提示し続ける姿勢が光陽社のDNAとして根付いています。

経営哲学:「価値」で勝負する 

「極端にコストだけを優先し、コピーレベルでいいというお客様には、率直にネットプリントをおすすめしています」と八木氏は語ります。

自社の強みである品質と環境配慮に価値を感じてくれる顧客に、最高の結果を提供するのが光陽社の哲学です。

今後のビジョン

目指している未来:売上55億円と「総合印刷業」へのシフト

 紙の需要減少や製紙メーカーの供給減など、業界全体の縮小が続く中でも、八木氏は自社の生き残りに強い自信を持っています。

「3〜5年後には、現在の売上約48億円を55億円まで引き上げ、社員の給料にしっかり還元していきたいと考えています。

肩書きも単なる『印刷会社』ではなく『総合印刷業』、将来的にはデジタル領域も含めた広告代理店的な立ち位置へとシフトしていくつもりです」

新しい挑戦:次世代へのバトンタッチ

現在60歳を迎える八木氏個人の最大のミッションは、自らが統括する西日本エリアの「後継者育成」です。

「あと5年をめどに後継者を育て、私が引退した後も、西日本単体でしっかりと成り立つ盤石な組織を作ってバトンタッチしたいですね」と、次世代を見据えた挑戦を語ってくれました。

読者へのメッセージ

Q. これから取引を検討している企業へメッセージをお願いします。 

「とにかく『より良いものを作りたい』と真剣に考えている会社さんと一緒に仕事をしたいです。

私たちの品質や環境への取り組みに共感し、印刷物を通じて共に価値を高め合えるパートナー企業様からのご相談を心よりお待ちしております」

まとめ

この記事のポイント

  1. 圧倒的な品質のルーツ:製版日本一の技術力を背景にした画像調整技術と、自社開発ワークフロー「The Favorite 2」による色調再現性。
  2. 業界を牽引する環境対応:自社でCO2排出量を測定・削減する「カーボンニュートラルプリント」の提供と、日本サステナブル印刷協会の設立。
  3. 上場廃止の真相:東証上場廃止は流通株式数の基準によるものであり、業績は堅調。名証メイン市場にて健全な経営を継続中。
  4. 課題解決の進化:印刷だけでなく在庫管理や物流まで一貫して支援する新サービス「プリロジ」の展開。

どんな企業におすすめか
「ブランドの世界観を正確な色で表現したいアパレル・メーカー企業」「SDGsや環境対応をサプライチェーン全体で推進したい上場企業」「販促物の在庫管理や物流コストに課題を抱えている企業」にとって、株式会社光陽社は圧倒的な付加価値を提供する最高のパートナーとなるでしょう。

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

経営者のストーリーには、会社のホームページや営業資料だけでは伝わらない
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そのストーリーを残すために、現在【経営者1000人インタビュープロジェクト】を進めています。

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インタビューはオンラインで60分ほど。現在はプロジェクトのため参加費は無料です。

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