ホテルアメニティ業界の隠れた巨人から「何でも屋」へ。売上1000億円を目指す株式会社三和の全貌と挑戦

話し手:株式会社三和 常務取締役 尼野英行氏
企業の真の強みや、Webサイトには載っていないリアルな情報をAIで可視化し、最適なビジネスマッチングを生み出すプロジェクト。

今回は、ホテルアメニティ業界で圧倒的なシェアを誇りながら、その枠を超えて多角的な事業展開を見せる「株式会社三和」の尼野氏にお話を伺った。コロナ禍での乱高下、知られざる「ASKUL」活用の裏技、そして最新の清掃ロボット事情まで、同社のユニークなビジネスモデルと尼野氏の波乱万丈なエピソードを深掘りする。

【参考資料】株式会社三和 会社概要

第1章:日本のホテル業界を支える「黒子」としての実力

―本日はよろしくお願いいたします。まずは、株式会社三和という会社について、改めてどのような事業を展開されているのか教えていただけますでしょうか。

尼野氏(以下、尼野): はい。一言で言えば「何でもやっている会社」ということになってしまうのですが、当社のメインビジネスは「ホテルアメニティ」です。ホテルの客室にあるタオル、ヘアブラシ、スリッパといった消耗品ですね。

このホテルアメニティ業界というのは非常にマニアックで特殊な業界でして、実は正確な業界統計が存在しません。マーケット規模がどれくらいで、どの会社が何パーセントのシェアを持っているかといった数字が公に出ていないんです。ただ、その中では当社はかなり健闘していると自負しています。

―具体的なシェアなどの指標はあるのでしょうか?

尼野: 例えば、日本の大手ホテルチェーン売上上位100社があったとします。そのうちの99社には、何らかの形で三和のアメニティ製品が入っています。

―100社中99社とは驚異的ですね。

尼野: もちろん、全てのホテルと直接取引しているわけではなく、アメニティ卸と呼ばれる商社を経由して納品されるケースがほとんどです。また、シェアが99%というわけではなく、「あるホテルにはヘアゴムだけ」「あちらのホテルには綿棒だけ」というケースも含めての数字ですが、業界内ではそれなりに認知されている存在です。

特に我々が強いのが「使い捨てスリッパ」です。これに関しては日本で一番取り扱っており、年間の取扱数量は約4000万足に達します。単純計算でも毎日10万足以上を出荷していることになります。カタログには載せていませんが、航空会社のビジネスクラス用スリッパや、高級列車のスリッパなども当社で手がけています。

―それだけの物量を扱える背景には、何か強みがあるのでしょうか。

尼野: 大きな特徴として、当社の社長が中国人であることが挙げられます。社長は、日本在住30年以上で中国やアジア圏に強力なルートを持っています。そこから商品を安く大量に調達してくる力、いわゆる「安く仕入れて安く納める」というビジネスを得意としています。

第2章:コロナバブルの熱狂と、その後の「悪夢」

―業績の推移を拝見すると、2020年頃に売上が急伸していますね。

尼野: ええ、我々はこれを「コロナバブル」と呼んでいます。世の中でマスク不足が叫ばれていた時期に、当社は独自のルートでマスクを大量に輸入することができました。国にフェイスシールドを大量に納めたり、マスク販売が好調だったりと、たまたま追い風が吹いた時期でした。

当時は多くのお客様から直接お問い合わせをいただける状況でした。マスクの供給が逼迫していた時期でしたので、「在庫はありますか?」「納品はいつ頃可能ですか?」といったご相談が相次ぎ、メガバンク等への納入実績も信用に繋がり、おかげさまで多くのご注文をいただくことができました。

―まさに特需ですね。しかし、その後のグラフを見ると変動があるようです。

尼野: 実は、このバブルの翌年、多額の赤字を出してしまいました。2021年9月期に創業以来初の赤字でした。

―何が起きたのでしょうか?

尼野: 在庫の逆回転です。マスクの仕入れ値が高騰していた時期に大量に契約を結んでいたのですが、納品される頃には市場価格が暴落してしまったのです。それでも契約しているので商品はどんどん入ってくる。「売らなければ損害が広がる」という状況で、仕入れ値を下回る赤字価格で在庫を処分せざるを得なくなりました。

1996年の創業以来、一度も赤字を出したことがない会社だったのですが、この時は本当に追い詰められました。「2期連続赤字なら会社を去るしかない」と腹を括って再建に取り組み、翌年にはなんとか黒字化させました。

―地獄のような経験ですね。そこから現在の100億円企業へとどう回復されたのですか?

尼野:コロナバブルでお客様の数は増えていたので、その惰性で伸びた部分もあります。加えて、新たに「輸出取引」を始めました。日本製品(Made in Japan)を中国や台湾へ輸出するビジネスです。さらに、新規商材も追加したことにより売上が伸びました。

第3章:マッチングの切り札「ASKUL」へのルート

―今回、貴社が他社と連携する場合、具体的にどのような提携や提案が可能なのでしょうか。

尼野: 大きく分けて5つの切り口があります。まず一つ目は、意外と知られていない「ASKUL(アスクル)への商品掲載」のサポートです。

―オフィス用品通販のASKULですか?

尼野: はい。ASKULは今やオフィス用品だけでなく、食品、飲料、衣類など何でも売っています。しかし、ASKUL側としては取扱商品は増やしたいものの、取引口座(ベンダー数)はこれ以上増やしたくないという事情があります。そこで、当社のような既存のベンダーが窓口となって、他社様の商品をASKULに登録・販売する代行を行っているのです。

―メーカー側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

尼野: メリットは主に3つあります。

  1. 価格崩れのリスクがない: Amazonなどと違い、ASKULは定価や指定価格をしっかり守って販売してくれます。
  2. コストリスク・ゼロ: 商品登録料やシステム利用料は一切かかりません。万が一売れなくても経済的損失はありません。
  3. 信用力の向上: ASKULの審査を通っている商品ということで、官公庁などへの販売実績に繋がります。「ASKULで売っています」という事実が、一種の「免罪符」や信用の裏付けになるのです。

―それは非常に魅力的ですね。どのような商品でも扱えるのですか?

尼野: 食品や飲料、最近では「熊よけスプレー」なども扱っています。「My Honey」というブランドの蜂蜜なんかも当社経由で販売していますよ。今から新規でASKULと直接口座を開くのは至難の業ですので、販路拡大を考えている企業様にはぜひ活用していただきたいスキームです。

第4章:マッチングの切り札(2)清掃ロボットとWi-Fiソリューション

―物販以外にも、サービスや機器の取り扱いに力を入れていると伺いました。

尼野: はい。今特に推しているのが、業務用清掃ロボット「Phantas(ファンタス)」です。

―多くのメーカーが参入していますが、御社の製品の強みは?

尼野: 我々はこれが業界ナンバーワンの競争力を持っていると確信しています。最大の特徴は、「水拭き」と「バキューム(吸引)」が1台で同時にできる点です。さらに「自動充電機能」も優秀で、ステーションに自動で戻って充電されるため、人が介在する手間が省けます。

―導入実績はありますか?

尼野: 数百台の実績がありそのなかで一番有名なのは関西国際空港(関空)です。他社製品と比較検討された結果、当社製品を選んでいただき、現在2台稼働しています。

清掃業界は人手不足が深刻です。一方でAIロボットの技術は、人間がイライラせずに使えるレベルまで進化してきました。この「人手不足」と「技術進化」が合致した今が、まさに導入のタイミングだと考えています。

―もう一つのIT商材としてWi-Fiのお話もありましたね。

尼野: はい。NTTメディアサプライさんと組んで提供している「マルチキャリアWi-Fi」です。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天という4つのキャリアの中から、その場所で一番強い電波を自動で拾ってWi-Fiとして飛ばす技術です。

―どのようなシーンで役立つのでしょうか。

尼野: 例えば、カフェでリモートワークをする際、店内のWi-Fiがセキュリティ上使えないことがありますよね。スマホのテザリングだと充電が減るし接続も不安定になりがちです。また、店舗のキャッシュレス決済端末も、電波が悪いと決済できずに機会損失になります。そういった「繋がらないリスク」を、4キャリアを束ねることで極限まで減らせるのが強みです。

第5章:独自のビジネススタイルと「三和」のDNA

―お話を伺っていると、アメニティからロボット、Wi-Fi、輸出入まで本当に幅広いです。「三和らしさ」とは何だと思われますか?

尼野: 「スピード」と「決断の速さ」ですね。悪く言えば少し雑なのかもしれませんが(笑)、あまり緻密に分析して議論を重ねるよりも、「とりあえず、やってみよう!」というノリで即断即決・即行動するのが当社のDNAです。

―今後のビジョンについて教えてください。

尼野: 売上100億円の壁は超えたので、次の目標は大きく1000億円です。ただ、いきなりは難しいので、まずは300億円を目指しています。既存事業の拡大に加え、新しい商材の開発、そしてM&Aも視野に入れています。

―M&Aも積極的に行っていくのですか?

尼野: 過去にも岐阜県の綿棒工場を買収したり、近隣の「若喜旅館」という後継者不在の旅館を買収した経験があります。若喜旅館については、元々は社員寮を探していた時に「旅館ごとどうだ」と持ちかけられ、建物や風景が素晴らしかったので「寮にするのはもったいない」と旅館業として引き継いだ経緯があります。 今後は、M&A仲介会社からの情報だけでなく、当社のカルチャーに合いそうな企業があれば、自ら探して買っていくことも考えています。

―ノベルティグッズについても言及されていましたね。

尼野:はい。当社は海外の提携工場と直接取引しており、価格面・スピード・柔軟性において優位性があると認識しております。多くのノベルティ会社様ともお取引させて頂いており、多数の実績があります。
また、社内デザイナーによる、無料のデザイン提案も可能であり、お客様から多くの好評を頂いています。

編集後記:尼野氏の意外なキャリアと「繋がり」の力

インタビューの終盤、尼野氏ご自身のキャリアについても興味深いお話が伺えた。元々は三井住友銀行の法人営業マンで、かつて三和を担当していた縁で9年前に転職されたという。銀行員時代から培ったバランス感覚と、三和の「とりあえずやる」精神が融合し、現在の多角的な事業推進力に繋がっているようだ。

また、以前は栃木県那須のホテル「ブランヴェール那須」で2年間総支配人を務めた経験もお持ちだ。全くの未経験から現場に入り、赤字ホテルを立て直すために奔走した日々が、現在の経営視点に生きている。

「三和と組めば、最短距離で繋がれる」 尼野氏の言葉通り、株式会社三和は単なるモノ売りではなく、商流のハブとして、また課題解決のパートナーとして、企業の黒子から表舞台へとその存在感を高めている。アメニティ、ASKUL、ロボット、Wi-Fi、そしてM&A。一見バラバラに見えるパズルのピースは、「商売の機会を逃さない」という強烈な現場主義で繋がっていた。

株式会社三和と繋がりたい企業の皆様へ

本記事で紹介した以下の領域で協業・導入をご検討の企業様は、ぜひLINEからお問い合わせください。AIによる事前分析の上、最適な形で尼野氏および株式会社三和とお繋ぎいたします。

  1. 業務用清掃ロボット「Phantas」の導入・リース 
  2. ノベルティグッズ・アメニティ製作(工場直取引によるコストダウン)
  3. ASKULへの商品掲載(販路拡大、官公庁実績作り)
  4. マルチキャリアWi-Fiの導入(通信環境改善)
  5. M&A・事業承継のご相談

お問い合わせは未来共創公式LINEから
https://lin.ee/28xuj3T

ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

経営者のストーリーには、会社のホームページや営業資料だけでは伝わらない
「なぜこの事業を始めたのか」という想いがあります。

創業のきっかけ、苦労したこと、そしてこれから実現したい未来。

こうした話を聞くたびに、日本にはまだまだ面白い経営者がたくさんいると感じます。

そのストーリーを残すために、現在【経営者1000人インタビュープロジェクト】を進めています。

この企画では、

  • 創業のストーリー
  • 事業の強み
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などをお聞きし、記事として公開しています。

記事は、会社名や代表者名で検索されたときにも見つかる「信頼できる情報」として残るコンテンツになります。

インタビューはオンラインで60分ほど。現在はプロジェクトのため参加費は無料です。

もしこの記事を読んで

「自分の事業の想いも残してみたい」
「経営者としてのストーリーを言語化したい」

そう思った方がいれば、ぜひ以下のページをご覧ください。

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