DDoS攻撃とは?仕組みや被害事例、効果的な対策を徹底解説

2024年末から2025年初頭にかけて、日本の大手企業が相次いでDDoS攻撃の標的となり、航空会社のシステムダウンや銀行のインターネットバンキング障害など、社会インフラに深刻な影響を及ぼしました。

Cloudflareの報告によれば、2024年には史上最大規模となる5.6テラビット毎秒(Tbps)の攻撃が検出されており、DDoS攻撃の脅威は年々深刻化しています。

本記事では、DDoS攻撃の基本的な仕組みから最新の攻撃手法、実際の被害事例、そして企業が今すぐ実践すべき対策まで、セキュリティ担当者が押さえておくべき情報を網羅的に解説します。

DDoS攻撃とは何か

DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)は、複数のコンピューターから標的のサーバーやネットワークに大量のトラフィックを送りつけ、正常なサービス提供を妨害するサイバー攻撃を指します。

「分散型サービス拒否攻撃」とも呼ばれ、標的となったシステムの処理能力を超える膨大なリクエストを送ることで、サーバーをダウンさせたり、レスポンスを著しく低下させたりします。

この攻撃の特徴は「分散型」という点にあります。攻撃者は自身のコンピューター単独で攻撃するのではなく、マルウェアに感染させた世界中の数千、数万のデバイス(ボットネット)を遠隔操作して一斉に攻撃を仕掛けるのです。この手法により、防御側は攻撃元を特定することが極めて困難になり、かつ膨大なトラフィックによってシステムが麻痺してしまいます。

DoS攻撃との決定的な違い

DDoS攻撃と混同されやすいのが「DoS攻撃」です。DoS(Denial of Service)攻撃は、単一のコンピューターから標的に対して攻撃を仕掛ける手法を指します。一方、DDoS攻撃は前述の通り、複数のデバイスを使った「分散型」の攻撃となります。

項目DoS攻撃DDoS攻撃攻撃元単一のコンピューター多数のコンピューター(ボットネット)攻撃規模比較的小規模大規模(数千~数百万のデバイス)検知・防御の難易度比較的容易非常に困難攻撃元の特定特定しやすい極めて困難

DoS攻撃の場合、攻撃元のIPアドレスをブロックするだけで防御できるケースが多いのですが、DDoS攻撃では数千~数万もの攻撃元が存在するため、単純なIPブロックでは対応しきれません。さらに、攻撃に利用されているデバイスは無関係な第三者のものであることが多く、攻撃者の特定はさらに難しくなります。

DDoS攻撃の目的と動機

では、攻撃者はなぜDDoS攻撃を仕掛けるのでしょうか。ここでは主要な攻撃動機を解説します。

金銭目的の脅迫

近年増加しているのが、「ランサムDDoS攻撃」と呼ばれる手法です。攻撃者は標的企業に対して「金銭を支払わなければDDoS攻撃を実行する」と脅迫し、身代金を要求します。Cloudflareの2025年第2四半期レポートによれば、ランサムDDoS攻撃の被害報告は前四半期比で68%増加しており、企業にとって深刻な脅威となっています。

実際に攻撃を受けた企業の多くは、サービス停止による損失を恐れて支払いに応じてしまうケースもありますが、一度支払うと「支払う企業」として標的リストに載り、繰り返し攻撃を受けるリスクが高まります。

営業妨害と競合対策

競合他社による営業妨害目的でDDoS攻撃が用いられるケースも存在します。特にECサイトやオンラインサービスを展開する企業にとって、サービス停止は直接的な売上損失につながります。繁忙期やセール期間を狙った攻撃は、企業に甚大な経済的損失をもたらすのです。

政治的・思想的な抗議活動

特定の政府機関や企業の方針に反対する「ハクティビスト」と呼ばれる集団が、抗議の意思表示としてDDoS攻撃を実行することがあります。2024年末から2025年初頭に日本で発生した一連の攻撃についても、地政学的な動機によるものではないかという指摘がセキュリティ専門家から上がっています。

攻撃の陽動作戦

見逃されがちですが、DDoS攻撃は本命の攻撃から目を逸らすための陽動作戦として使われることもあります。セキュリティチームがDDoS攻撃への対応に追われている間に、別のチームがランサムウェアの侵入や機密情報の窃取を行うという手口です。この複合的な攻撃手法は、高度な攻撃グループによって実行されます。

DDoS攻撃の主要な種類と手法

DDoS攻撃にはさまざまな種類が存在し、それぞれ異なる層を標的としています。ここでは、代表的な攻撃手法を解説します。

ボリューム攻撃(帯域幅枯渇型)

ボリューム攻撃は、標的のネットワーク帯域を大量のトラフィックで埋め尽くす手法です。正常な通信が通過できないほどの膨大なデータを送りつけることで、サービスを停止させます。

UDPフラッド攻撃では、偽装されたIPアドレスから大量のUDP(User Datagram Protocol)パケットを送信します。攻撃者は、オープンDNSサーバーなどを踏み台にすることで、小さなリクエストを増幅させて標的に送りつける「リフレクション攻撃」も併用します。

DNSフラッド攻撃は、DNSサーバーに対して大量のクエリを送信し、DNSサーバーの処理能力を超過させる手法です。DNSはインターネットの基盤となるサービスであるため、この攻撃が成功すると広範囲にわたってサービスが利用できなくなります。

プロトコル攻撃

プロトコル攻撃は、ネットワークプロトコルの仕様や脆弱性を悪用してサーバーのリソースを消費させる手法です。

SYNフラッド攻撃は最も一般的なプロトコル攻撃の一つです。TCP接続の3ウェイハンドシェイクの仕組みを悪用し、大量のSYNパケットを送信しながら、サーバーからのSYN-ACKパケットに対して応答しません。サーバーは接続待ち状態のまま大量のリソースを消費し、やがて新規接続を受け付けられなくなります。

同様の手法として、FINフラッド攻撃ACKフラッド攻撃も存在します。これらは正常なTCP通信の終了プロセスや確認応答の仕組みを悪用し、サーバーに不必要な処理負荷をかけ続けます。

アプリケーション層攻撃

アプリケーション層攻撃は、Webアプリケーションの処理リソースを狙った高度な攻撃です。少ないトラフィック量で大きな被害を与えられるため、「Low and Slow攻撃」とも呼ばれます。

HTTPフラッド攻撃では、一見正常に見えるHTTPリクエストを大量に送信します。特に、データベースへの問い合わせが発生する検索機能やログイン処理など、サーバー負荷の高いページを標的にすることで、効率的にサーバーをダウンさせられます。

Slow HTTP攻撃は、HTTP通信を意図的に遅延させることでサーバーの接続枠を占有し続ける手法です。「Slowloris」と呼ばれる攻撃ツールでは、HTTPヘッダーを少しずつ送信し続けることで、サーバーに接続を維持させたまま、他の正規ユーザーの接続を妨害します。この攻撃は少数のボットでも実行可能で、検知が非常に困難です。

最新の脅威:HTTP/2 Rapid Reset攻撃

2023年に発見された新しい攻撃手法として、HTTP/2プロトコルの仕様を悪用する「Rapid Reset攻撃」があります。この攻撃では、大量のHTTP/2リクエストを送信した直後にキャンセルするという動作を高速で繰り返すことで、サーバーを過負荷状態に陥れます。Googleは2023年10月、この手法による毎秒3億9,800万リクエスト(RPS)という過去最大規模の攻撃を検知・軽減したと報告しています。

2024-2025年に発生した国内の被害事例

ここでは、2024年末から2025年初頭にかけて日本で実際に発生したDDoS攻撃の被害事例を紹介します。これらの事例から、攻撃の実態と影響の深刻さを理解できます。

日本航空(JAL)のシステム障害

2024年12月26日、日本航空は大規模なDDoS攻撃を受け、年末の帰省ラッシュという最悪のタイミングでシステムに障害が発生しました。自動手荷物預けシステムや航空券販売システムが停止し、71便で30分以上の遅延、4便が欠航という事態に陥りました。

航空業界において運航の定時性は最重要指標の一つであり、数時間のシステム停止が数千人の乗客に影響を及ぼしました。同社は迅速にシステムを復旧させ、顧客データの流出やウイルス被害がないことを公表することで、信頼の維持に努めました。

大手銀行への連続攻撃

2024年12月28日から2025年1月7日にかけて、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、三井住友銀行など複数の大手金融機関が立て続けにDDoS攻撃を受けました。インターネットバンキングが利用しづらくなる、あるいは完全に停止する障害が発生し、特にみずほ銀行では12月31日という年末決済の重要な日に約3時間のサービス影響が出ました。

金融機関へのDDoS攻撃は、顧客の資産管理や決済業務に直結するため、社会的影響が極めて大きくなります。各行は発生時刻と復旧時刻を明確に公表し、顧客が自身の取引への影響を判断できるよう配慮しました。

NTTドコモのサービス障害

2025年1月2日、NTTドコモが提供する複数のサービスにおいて、アクセスしづらい状況が発生しました。午前5時27分頃から午後4時10分頃まで約11時間にわたって影響が続き、同社は障害の原因を「外部からのDDoS攻撃によるネットワーク輻輳」と公表しています。

通信インフラへの攻撃は、その上で動作する多数のサービスに連鎖的な影響を及ぼします。NTTドコモのケースでは、多層的なサービスを段階的に復旧させることで、被害の最小化を図りました。

日本気象協会「tenki.jp」への攻撃

公共性の高い気象情報サービスである「tenki.jp」もDDoS攻撃の標的となりました。多くの人々が日常的に利用する天気予報サービスが停止したことで、社会生活への影響が懸念されました。同協会は迅速な復旧とともに、精緻な時刻管理による状況説明を行い、利用者の不安解消に努めています。

共通する攻撃の特徴

トレンドマイクロの調査によると、これらの攻撃には共通点があります。2024年末から大規模に活動を開始したIoTボットネットが利用されており、そのC&Cサーバーから送信されるDDoS攻撃コマンドを分析したところ、被害を受けた企業が標的リストに含まれていました。攻撃には「Mirai」や「Bashlite」というマルウェアの亜種が使用されていると考えられており、世界中の脆弱なIoTデバイスが踏み台として悪用されています。

DDoS攻撃がもたらす被害の実態

DDoS攻撃による被害は、単なる一時的なサービス停止にとどまりません。企業が被る損害は多岐にわたり、長期的な影響を及ぼします。

直接的な経済損失

ECサイトやオンラインサービスを提供する企業にとって、システムダウンは直接的な売上損失を意味します。特に繁忙期やセール期間中の攻撃は、数時間の停止で数千万円から数億円規模の損失につながる可能性があります。

さらに、攻撃への対応コストも無視できません。緊急対応のためのセキュリティ専門家への依頼費用、システム復旧作業、顧客対応のための人件費など、間接的なコストも膨大になります。

顧客信頼の失墜とブランド毀損

サービスが利用できないという経験は、顧客の信頼を大きく損ないます。特に金融機関や通信事業者など、「安定性」が価値の根幹となるサービスにおいては、一度のシステム障害が長期的な顧客離れにつながるリスクがあります。

SNSの普及により、サービス障害の情報は瞬く間に拡散されます。不適切な初動対応や情報公開の遅れは、さらなるブランド毀損を招く恐れがあります。

法的責任とコンプライアンス違反

DDoS攻撃によって顧客データへのアクセスができなくなった場合、契約上のSLA(Service Level Agreement)違反となり、損害賠償責任が発生する可能性があります。また、金融機関や医療機関など、規制の厳しい業界では、サービス停止がコンプライアンス違反と見なされるケースもあります。

他の攻撃への入口

前述の通り、DDoS攻撃は陽動作戦として使われることがあります。セキュリティチームの注意がDDoS攻撃に向いている隙に、ランサムウェアの侵入や機密情報の窃取が行われるという複合攻撃のリスクも存在します。

企業が今すぐ実践すべきDDoS攻撃対策

では、企業はどのような対策を講じるべきでしょうか。ここでは、実践的な対策方法を優先度の高い順に解説します。

DDoS対策サービスの導入

最も効果的な対策は、クラウド型DDoS対策サービスの導入です。CloudflareやAkamai、AWS Shield、Azure DDoS Protectionなどのサービスは、膨大なネットワーク容量と高度なトラフィック分析機能を備えており、大規模なDDoS攻撃でも自動的に検知・軽減できます。

これらのサービスは、世界中に分散配置されたデータセンターで攻撃トラフィックを吸収し、正常なトラフィックのみを企業のサーバーに転送します。特にCloudflareは2024年に毎時4,870件のDDoS攻撃をブロックしており、その防御実績は信頼に値します。

CDN(コンテンツデリバリネットワーク)の活用

CDNは、Webコンテンツを世界中のエッジサーバーに分散配置することで、トラフィックの負荷を分散します。DDoS攻撃を受けた際も、複数のエッジサーバーで攻撃トラフィックを処理するため、単一のサーバーがダウンするリスクを大幅に軽減できます。

さらに、CDNには異常なトラフィックパターンを検知する機能が備わっており、DDoS攻撃の初期段階で警告を発することができます。CloudfrontやFastlyなどの主要CDNサービスは、DDoS対策機能を標準装備しています。

WAF(Web Application Firewall)の導入

WAFは、アプリケーション層への攻撃を防御するためのセキュリティツールです。HTTPフラッド攻撃やSlow HTTP攻撃など、正常なトラフィックと区別が難しいアプリケーション層のDDoS攻撃に対して有効です。

WAFは通信パターンやリクエストの内容を詳細に分析し、不審なアクセスをブロックします。機械学習を活用した最新のWAFでは、攻撃パターンを自動的に学習し、未知の攻撃手法にも対応できるようになっています。

IPアドレスとアクセス制限の最適化

基本的な対策として、海外や特定地域からのアクセス制限が有効です。警察庁の情報によると、DDoS攻撃に使われる攻撃元IPアドレスの大半は海外のものとなっています。国内向けサービスであれば、海外からのアクセスを制限することで攻撃の影響を緩和できます。

ただし、正規の海外ユーザーもブロックしてしまうため、ビジネス要件に応じて慎重に設定する必要があります。CDNやDDoS対策サービスと組み合わせることで、より柔軟な制御が可能になります。

トラフィック監視とベースラインの確立

DDoS攻撃を早期に検知するためには、平常時のトラフィックパターンを把握しておくことが重要です。通常のアクセス数、リクエストの種類、接続元の地域分布などのベースラインを確立しておけば、異常なトラフィック増加を素早く検知できます。

IIJの観測では、2024年は年間を通じて1日あたり平均9件のDDoS攻撃が日本国内で検出されています。報道されるのは氷山の一角に過ぎず、多くの企業が日常的に小規模な攻撃を受けているのが実情です。リアルタイムの監視体制を整えることで、大規模な被害に至る前に対処できる可能性が高まります。

インフラの冗長化と負荷分散

サーバーやネットワークの冗長化は、DDoS攻撃だけでなく、あらゆる障害に対する基本的な対策です。複数のデータセンターにサーバーを分散配置し、ロードバランサーでトラフィックを適切に振り分けることで、一部のサーバーが攻撃を受けてもサービス全体は継続できます。

クラウドサービスの活用により、攻撃時には自動的にサーバーリソースをスケールアップする「オートスケーリング」も実現できます。ただし、この手法はコストが急増するリスクがあるため、予算の上限設定などの適切な管理が必要です。

不要なサービスとポートの無効化

攻撃の入口を減らすという観点から、使用していないサービスやポートを無効化することが重要です。攻撃者は偵察段階でポートスキャンを実行し、開いているポートを探索します。不要なサービスを停止し、必要最小限のポートのみを公開することで、攻撃対象領域を縮小できます。

インシデント対応計画の策定

技術的な対策と同様に重要なのが、DDoS攻撃を受けた際の対応手順を事前に整備しておくことです。緊急連絡網の確立、役割分担の明確化、顧客への情報公開のガイドライン、プロバイダーやセキュリティベンダーとの連携手順などを文書化し、定期的に訓練を実施します。

2024年末の一連の攻撃で評価された企業は、いずれも迅速かつ透明性の高い情報公開を行っています。発生時刻、復旧時刻、影響範囲、顧客データの安全性など、ステークホルダーが必要とする情報を適切なタイミングで公表することが、信頼維持につながります。

IoTデバイスのセキュリティ対策も忘れずに

2024年末の攻撃では、IoTボットネットが主要な攻撃手段となりました。自社のネットワーク監視カメラ、ルーター、スマートデバイスなどが攻撃の踏み台にされないよう、以下の対策を実施しましょう。

・初期設定のパスワードを強固なものに変更する
・ファームウェアを常に最新の状態に保つ
・不要な外部アクセスを遮断する
・定期的なセキュリティスキャンを実施する

内閣サイバーセキュリティセンターは2025年2月4日に「DDoS攻撃への対策について(注意喚起)」を発表し、IoT機器のセキュリティ強化を呼びかけています。

今後のDDoS攻撃の展望と新たな脅威

DDoS攻撃の脅威は今後も進化を続けると予測されています。ここでは、セキュリティ担当者が注視すべき新たな脅威について解説します。

AIを活用した攻撃の高度化

攻撃者はAI技術を悪用し始めています。GPT系モデルを改造した攻撃AIは、ターゲットサイトの構造を自動分析し、最も効果的な攻撃ポイントを特定します。2025年の報告では、CAPTCHAの自動突破率が2024年の40%から80%に上昇しており、従来のBot対策がほぼ無力化されつつあります。

さらに、防御側のパターンを学習し、検知を回避しながら攻撃を継続する「適応型DDoS」も出現しており、AI対AIの攻防が本格化しています。

5GとIoTの普及による攻撃能力の増大

5Gネットワークの普及により、個々のデバイスが持つ攻撃能力が飛躍的に向上しています。従来の4G環境では1台あたり最大100Mbpsだった攻撃能力が、5Gでは理論上10Gbpsまで可能になり、少数のデバイスでも大規模な攻撃を実行できるようになっています。

IoTデバイスの爆発的増加も脅威を加速させています。2025年時点で世界中に数百億台のIoTデバイスが存在し、その多くがセキュリティ対策が不十分な状態で稼働しています。これらのデバイスが一斉に攻撃に利用されれば、従来の防御システムでは対処しきれない規模の攻撃が発生する可能性があります。

DDoS攻撃代行サービスの活発化

ダークウェブ上では、DDoS攻撃を代行するサービスが活発に取引されています。2024年12月の国際共同捜査「Operation PowerOFF」では27件のDDoS攻撃サービスが機能停止に追い込まれましたが、これは氷山の一角に過ぎません。

日本国内でも2024年8月に、月額数百円から一万数千円という低価格のDDoS攻撃代行サービスを利用した事例で逮捕者が出ています。攻撃を実行するハードルが極端に低下しており、専門知識のない者でも容易に攻撃を実行できる環境が整いつつあります。

ランサムDDoS攻撃の常態化

身代金要求を伴うランサムDDoS攻撃は、今後も増加すると予想されています。Cloudflareの2025年第2四半期レポートでは、回答者の約3分の1がランサムDDoS攻撃を受けた、または脅迫されたと報告しており、特に6月に急増しました。

攻撃者にとってDDoS攻撃は実行コストが低く、かつ企業に即座に損害を与えられるため、「効率的な」犯罪手法として定着しつつあります。

まとめ:DDoS攻撃への備えは企業の責務

2024年末から2025年初頭にかけて日本で発生した一連のDDoS攻撃は、この脅威が決して他人事ではないことを明確に示しました。Cloudflareが検出した史上最大5.6TbpsというDDoS攻撃の規模は、従来の常識を大きく超えるものであり、企業規模の大小にかかわらず、すべての組織が標的となり得る状況にあります。

DDoS攻撃がもたらす被害は、一時的なサービス停止にとどまらず、経済的損失、顧客信頼の失墜、法的責任、さらには他の攻撃への入口となるリスクまで多岐にわたります。特に金融、通信、航空、医療などの重要インフラを担う企業にとって、DDoS攻撃への対策は事業継続の生命線といえるでしょう。

効果的な対策には、クラウド型DDoS対策サービスやCDN、WAFといった技術的な防御層を多層的に構築することに加え、平常時からのトラフィック監視、インシデント対応計画の策定、定期的な訓練といった組織的な備えが不可欠です。さらに、自社のIoTデバイスが攻撃の踏み台にされないよう、適切なセキュリティ管理を行うことも重要な責務となっています。

AIを活用した攻撃の高度化、5GとIoTの普及による攻撃能力の増大、DDoS攻撃代行サービスの活発化など、脅威は今後も進化を続けます。「自社は標的にならない」という楽観的な見方は捨て、DDoS攻撃は起こり得るものとして備えることが、これからの企業経営における必須要件となるでしょう。

本記事で紹介した対策を参考に、自社の状況に合わせた防御体制を構築し、定期的な見直しと強化を続けることで、DDoS攻撃の脅威から企業とステークホルダーを守ることができます。セキュリティ投資は単なるコストではなく、事業継続を支える重要な経営判断であることを、改めて認識する必要があります。

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