記帳代行とは?業務内容からメリット・デメリット、費用相場まで徹底解説

日々の取引を正確に記録し、帳簿を作成する記帳業務は、企業経営において欠かせない作業です。

しかし、経理担当者がいない小規模事業者や、本業に集中したい経営者にとって、記帳業務は大きな負担となることも少なくありません。そこで注目されているのが「記帳代行」サービスです。

本記事では、記帳代行の基本的な内容から、求められるようになった背景、依頼できる具体的な業務内容、メリット・デメリット、費用相場、そして信頼できるサービスの選び方まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。

記帳代行の導入を検討している方はもちろん、すでに利用している方にとっても、より効果的な活用方法を見出すヒントとなるはずです。

記帳代行とは何か

記帳代行とは、企業や個人事業主が行うべき記帳業務を、外部の専門業者に委託するサービスを指します。具体的には、日々の取引内容を会計ソフトに入力し、仕訳帳や総勘定元帳、試算表といった各種帳簿を作成する業務を代行してもらえます。

記帳業務の基本

そもそも記帳とは、企業の経済活動における取引を帳簿に記録する作業です。売上や経費、資産の増減など、お金の動きをすべて記録し、複式簿記の原則に従って整理します。

記帳業務には以下のような作業が含まれます。


  • 領収書や請求書などの証憑書類の整理



  • 取引内容の仕訳作業



  • 会計ソフトへのデータ入力



  • 現金出納帳、預金出納帳の作成



  • 仕訳帳、総勘定元帳の作成



  • 試算表の作成


これらの作業は毎日、あるいは定期的に実施する必要があり、正確性と継続性が求められます。記帳を怠ったり誤った記録をしたりすると、財務状況の把握が困難になるだけでなく、税務申告時に問題が生じる可能性もあります。

記帳代行が求められる背景

近年、記帳代行サービスの需要が高まっているのには、いくつかの明確な背景があります。

記帳義務化の影響

2014年1月から、すべての白色申告者にも記帳義務が課されるようになりました。それまでは所得が300万円を超える白色申告者のみが記帳義務の対象でしたが、法改正により事業規模に関わらず、すべての事業者が記帳を行う必要が生じたのです。

この義務化により、これまで簡易的な記録しか行っていなかった小規模事業者も、正式な帳簿作成が必要となりました。しかし、多くの事業者にとって、突然の義務化は大きな負担となりました。記帳の知識やノウハウを持たない事業者が増加し、専門家の支援を求める声が高まったのです。

人材不足と採用コストの問題

経理業務に精通した人材の確保は、特に中小企業にとって大きな課題です。経理担当者を正社員として雇用する場合、年収300万円から500万円程度の人件費に加え、社会保険料や教育コスト、場合によっては退職金なども必要となります。

さらに、経理担当者が退職した場合の引き継ぎや、産休・育休による一時的な欠員への対応など、人に依存する体制には常にリスクが伴います。記帳代行を利用することで、こうした人材面での不安定さから解放されるメリットがあります。

電子帳簿保存法改正とDX推進

2021年の電子帳簿保存法改正により、企業のデジタル化が加速しています。帳簿書類の電子保存が義務化され、経理業務のデジタル化が不可欠となったことで、BPO市場全体が拡大傾向にあります。

矢野経済研究所の調査によると、2022年度の国内BPO市場規模は4兆7,020億9,000万円に達しており、そのうち経理BPOは480億円規模と推計されています。前年度比で約3〜4%の成長を続けており、今後もこの傾向は続くと予想されています。

市場規模から見る記帳代行の需要
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の拡大は、記帳代行需要の高まりを如実に示しています。特に、コロナ禍以降、固定費削減とリモートワーク推進の観点から、外部委託への関心がさらに高まっています。

記帳代行と経理代行の違い

記帳代行と混同されやすいサービスに「経理代行」があります。これらは似ているようで、対応する業務範囲が異なります。両者の違いを正確に理解することは、自社に適したサービスを選択する上で重要です。

記帳代行の業務範囲

記帳代行は、記帳業務に特化したサービスです。主な業務内容は以下の通りです。


  • 領収書や請求書などの証憑書類の整理



  • 取引内容の仕訳作業



  • 会計ソフトへのデータ入力



  • 各種帳簿の作成(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)



  • 試算表の作成


記帳代行では、税務申告書の作成や提出は基本的に含まれません。なぜなら、税務申告業務は税理士の独占業務であり、税理士資格を持たない記帳代行業者では対応できないためです。

経理代行の業務範囲

一方、経理代行は記帳業務を含む、より広範な経理業務全般をカバーします。具体的には以下のような業務が含まれます。


  • 記帳業務全般



  • 請求書の発行・管理



  • 入金管理・売掛金管理



  • 支払業務・買掛金管理



  • 給与計算



  • 経費精算



  • 資金繰り管理



  • 月次決算資料の作成


経理代行は、記帳代行よりも包括的なサービスであり、その分費用も高くなる傾向があります。企業の経理部門が担う業務のほとんどを外部委託できる点が特徴です。

項目記帳代行経理代行業務範囲記帳業務のみ経理業務全般費用相場月額6,000円〜30,000円月額30,000円〜100,000円以上適している企業取引数が少ない小規模事業者取引数が多い中規模以上の企業税務申告別途税理士への依頼が必要提携税理士がいる場合は対応可能

記帳代行に依頼できる業務内容

記帳代行サービスで具体的にどのような業務を依頼できるのか、詳しく見ていきましょう。サービス提供者によって対応範囲は異なりますが、一般的には以下の業務が含まれます。

会計ソフトへの入力作業

記帳代行の中核となる業務が、会計ソフトへのデータ入力です。依頼者から受け取った領収書、請求書、通帳のコピーなどの資料をもとに、取引内容を会計ソフトに正確に入力していきます。

この際、複式簿記の原則に従って正確に仕訳を行うことが重要です。例えば、商品を現金で購入した場合、「借方:仕入/貸方:現金」というように、必ず借方と貸方の両面から記録します。

近年では、freee会計やマネーフォワード クラウド会計といったクラウド型会計ソフトの利用が増えており、記帳代行業者もこれらのソフトに対応しているケースが多くなっています。クラウド型であれば、依頼者と代行業者の双方がリアルタイムで同じデータにアクセスできるため、効率的な作業が可能です。

各種帳簿の作成

会計ソフトへの入力をもとに、以下のような帳簿を作成します。


  • 仕訳帳:すべての取引を日付順に記録した帳簿



  • 総勘定元帳:勘定科目ごとに取引を整理した帳簿



  • 現金出納帳:現金の入出金を記録した帳簿



  • 預金出納帳:銀行口座の入出金を記録した帳簿



  • 売掛帳・買掛帳:売掛金・買掛金の管理帳簿



  • 試算表:一定期間の取引を集計し、財務状況を把握するための資料


これらの帳簿は、税務申告の際に必要となるだけでなく、経営判断を行う上でも重要な資料となります。定期的に試算表を確認することで、売上や経費の推移、利益率などを把握し、タイムリーな経営判断が可能になります。

証憑書類の整理・ファイリング

記帳代行業者によっては、領収書や請求書などの証憑書類の整理・ファイリングまで対応してくれるところもあります。月ごと、取引先ごとなど、ルールに従って書類を整理することで、後から特定の取引を確認する際にスムーズに対応できます。

電子帳簿保存法の改正により、これらの書類の電子保存も可能になっています。スキャンしてデータ化することで、物理的な保管スペースを削減できるだけでなく、検索性も向上します。

オプションサービスについて
基本的な記帳業務以外に、月次レポートの作成、経営分析資料の提供、予算実績比較表の作成などを、オプションサービスとして提供している業者もあります。自社のニーズに合わせて、必要なサービスを選択しましょう。

記帳代行を利用するメリット

記帳代行を利用することで、企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、実務的な観点から特に重要なメリットを解説します。

本業に集中できる時間の創出

記帳業務は、慣れない人が行うと想像以上に時間がかかります。毎月の取引が100件程度ある企業の場合、仕訳から帳簿作成まで、月に20〜30時間程度を要することも珍しくありません。

記帳代行を利用することで、この時間を営業活動や商品開発、顧客対応といった、直接的に売上や利益を生み出す活動に振り向けることができます。特に経営者自身が記帳業務を行っている場合、その効果は顕著です。経営者の時間単価を考えれば、記帳代行の費用は十分に回収できる投資といえるでしょう。

記帳精度の向上と税務リスクの軽減

記帳業務には専門的な知識が必要です。勘定科目の選択を誤ったり、消費税の処理を間違えたりすると、決算書の数字が不正確になるだけでなく、税務申告にも影響します。

記帳代行業者は、日々多くの企業の記帳を扱っているため、業種特有の取引や複雑な仕訳にも精通しています。正確な記帳は税務調査のリスクを低減し、万が一調査が入った場合でも、適切な説明資料として機能します。

人件費の最適化

経理担当者を正社員として雇用する場合、給与だけでなく社会保険料、福利厚生費、教育コストなど、様々な費用が発生します。年収400万円の社員を雇用する場合、企業の実質負担は500万円を超えることも珍しくありません。

記帳代行の費用相場は月額1万円〜3万円程度であり、年間でも12万円〜36万円です。経理業務のうち記帳部分だけを外部委託することで、大幅なコスト削減が可能になります。

また、人に依存する体制から脱却できるため、担当者の退職や休職による業務の停滞リスクも回避できます。

リアルタイムでの経営数値の把握

記帳代行業者の多くは、月次で試算表を提供します。これにより、経営者は毎月の業績をタイムリーに把握できるようになります。

自社で記帳を行っている場合、日々の業務に追われて記帳が後回しになり、数ヶ月分をまとめて処理するケースも少なくありません。こうした状況では、経営判断に必要な情報が手元にないため、適切なタイミングで意思決定を行うことが困難になります。

定期的に試算表を確認することで、売上の減少や経費の増加といった兆候を早期に発見し、対策を講じることができます。

不正防止とガバナンスの強化

経理業務を社内の特定の人物に完全に任せきりにすると、不正が発生するリスクがあります。特に小規模企業では、経理担当者がすべての金銭管理を一手に担っているケースも多く、チェック機能が働きにくい状況があります。

記帳代行を利用することで、第三者の目が入ることになり、不正の抑止効果が期待できます。また、客観的な立場から帳簿をチェックしてもらえるため、意図しない誤りにも気づきやすくなります。

記帳代行を利用するデメリット

メリットが多い記帳代行ですが、当然デメリットも存在します。導入前にこれらの点を理解し、対策を講じることが重要です。

社内にノウハウが蓄積されない

記帳業務を外部に委託すると、社内に経理のノウハウが蓄積されにくくなります。将来的に事業が拡大し、経理部門を内製化する必要が生じた場合、ゼロから体制を構築しなければなりません。

この点への対策としては、以下のような方法が考えられます。


  • 記帳代行業者から定期的に報告を受け、経営者自身が数字を理解する習慣をつける



  • 簡単な仕訳や入力作業は社内で行い、複雑な部分だけを外部委託する



  • 記帳代行業者に、社員向けの基礎的な研修を依頼する


完全に丸投げするのではなく、ある程度は社内でも経理の流れを理解しておくことが望ましいでしょう。

リアルタイム性の制限

記帳代行を利用する場合、通常は月次での対応となります。領収書などの資料を月末にまとめて送付し、業者が記帳作業を行った後、試算表を受け取るという流れが一般的です。

このため、完全なリアルタイムでの数字把握は難しくなります。資金繰りが厳しい企業や、日々の売上管理が重要な業種では、この点がネックになる可能性があります。

対策としては、クラウド会計ソフトを活用し、日々の簡単な入力だけは自社で行い、月次での仕訳や調整を記帳代行業者に依頼するという方法があります。これにより、大まかな数字は常に把握しつつ、正確な帳簿作成は専門家に任せるという、バランスの取れた運用が可能になります。

情報漏洩のリスク

記帳代行を依頼する際は、企業の財務情報を外部に開示することになります。売上や経費、取引先といった機密性の高い情報が含まれるため、情報管理体制がしっかりした業者を選ぶことが極めて重要です。

以下の点を確認しましょう。


  • 秘密保持契約(NDA)を締結できるか



  • 個人情報保護やセキュリティに関する認証(プライバシーマーク、ISMSなど)を取得しているか



  • データの保管方法や管理体制が適切か



  • スタッフ教育が徹底されているか


コミュニケーションコストの発生

記帳代行業者とのやり取りには、一定のコミュニケーションコストが発生します。証憑書類の送付、不明点の確認、試算表の説明など、定期的な連絡が必要です。

特に、業種特有の取引や複雑な処理がある場合、説明に時間がかかることもあります。レスポンスの早い業者を選び、オンラインツールを活用してスムーズなコミュニケーションを図ることが大切です。

記帳代行の依頼先

記帳代行を依頼できる先は、主に以下の3つに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自社に合った依頼先を選びましょう。

税理士事務所・会計事務所

税理士事務所や会計事務所は、記帳代行だけでなく、税務申告や経営相談まで一貫してサポートを受けられる点が最大の特徴です。

メリット


  • 税理士という国家資格者が関与するため、信頼性が高い



  • 記帳から決算、税務申告までワンストップで対応可能



  • 税務調査の際も立ち会ってもらえる



  • 節税対策や経営アドバイスも受けられる


デメリット


  • 顧問契約が前提となることが多く、記帳代行のみの依頼は難しい場合がある



  • 費用が比較的高額(法人で月額4万円程度〜、個人事業主で月額3万円程度〜)



  • 繁忙期(確定申告時期など)はレスポンスが遅くなる可能性がある


向いている企業

決算申告まで含めて総合的なサポートを求める企業、税務面での不安が大きい企業、経営相談も合わせて行いたい企業に適しています。

記帳代行専門業者

記帳業務に特化したサービスを提供する専門業者です。費用対効果を重視する企業に人気があります。

メリット


  • 記帳業務に特化しているため、作業効率が高く費用が安い



  • 仕訳数に応じた柔軟な料金設定(月50仕訳で6,000円〜8,000円程度)



  • 短期契約にも対応している場合が多い



  • クラウド会計ソフトとの連携に強い


デメリット


  • 税理士資格を持たない業者の場合、税務申告には対応できない



  • 決算書の作成は可能だが、税務申告書の作成・提出は別途税理士に依頼が必要



  • 業者によって品質にばらつきがある


向いている企業

既に顧問税理士がいて記帳代行のみを依頼したい企業、コストを抑えたい小規模事業者、繁忙期だけスポットで利用したい企業に適しています。

フリーランスの記帳代行者

個人で記帳代行サービスを提供しているフリーランサーも増えています。クラウドソーシングサイトなどで探すことができます。

メリット


  • 費用が最も安価(月額5,000円〜対応してくれる場合もある)



  • 小回りが利き、柔軟な対応が期待できる



  • 直接コミュニケーションが取りやすい


デメリット


  • 個人の能力や経験に大きく依存する



  • 病気や多忙により対応できなくなるリスクがある



  • 組織的なサポート体制がない



  • セキュリティ面での不安がある場合も


向いている企業

取引数が非常に少ない小規模事業者、とにかくコストを抑えたい企業、試験的に記帳代行を利用してみたい企業に適しています。

記帳代行の費用相場

記帳代行の費用は、依頼先や仕訳数、業務範囲によって大きく異なります。ここでは、2024年時点での最新の費用相場をもとに解説します。

料金体系の基本

記帳代行の料金は、主に以下の2つの方式で設定されています。


  1. 仕訳数による従量課金制:1仕訳あたり50円〜100円が相場。月間の仕訳数に応じて料金が変動する



  2. 月額固定料金制:一定の仕訳数まで定額で対応。超過分は追加料金が発生する


依頼先別の費用相場

依頼先月額費用の目安特徴税理士事務所
(顧問契約込み)法人:40,000円〜
個人事業主:30,000円〜記帳代行に加え、税務相談や申告業務も含む総合的なサービス記帳代行専門業者50仕訳:6,000円〜8,000円
100仕訳:10,000円〜15,000円
250仕訳:15,000円〜20,000円記帳業務のみに特化。仕訳数に応じた柔軟な料金設定フリーランス5,000円〜15,000円最も安価だが、品質やサポート体制にばらつきあり

仕訳数の目安

自社の月間仕訳数を把握することで、適切な見積もりが可能になります。以下は業種別のおおよその目安です。


  • フリーランス・個人事業主:20〜50仕訳/月



  • 小売店(実店舗):50〜150仕訳/月



  • 飲食店:100〜200仕訳/月



  • 製造業(小規模):150〜300仕訳/月



  • サービス業(従業員10名程度):100〜250仕訳/月


追加オプション料金

基本料金に含まれない業務を依頼する場合、以下のようなオプション料金が発生します。


  • 給与計算代行:1名あたり1,000円〜3,000円/月



  • 年末調整業務:1名あたり3,000円〜5,000円/年



  • 証憑書類のファイリング:5,000円〜10,000円/月



  • 特急対応(納期短縮):基本料金の20〜50%増



  • 月次経営レポート作成:5,000円〜10,000円/月


費用を抑えるポイント
記帳代行の費用を抑えるには、以下の工夫が有効です。


  • 領収書や請求書を日頃から整理しておく



  • 簡単な仕訳だけは自社で行い、複雑な部分だけを依頼する



  • クラウド会計ソフトの自動取込機能を活用する



  • 月次ではなく、四半期ごとの契約にする(業者によっては割高になる場合もあるため要確認)


記帳代行サービスの選び方

記帳代行サービスは数多く存在し、品質やサービス内容も様々です。失敗しない選び方のポイントを押さえましょう。

税理士の有無を確認する

記帳代行業者が税理士資格を持っているか、あるいは税理士と提携しているかは重要な確認ポイントです。

税理士法により、税務申告書の作成や税務相談は税理士の独占業務とされています。記帳代行業者が税理士資格を持たない場合、これらの業務には対応できません。決算時には別途税理士に依頼する必要があり、二度手間になる可能性があります。

一方、税理士が在籍している、または提携している記帳代行業者であれば、記帳から申告までシームレスに対応してもらえます。

セキュリティ体制を確認する

財務情報は企業の機密情報です。以下の点を必ず確認しましょう。


  • 秘密保持契約(NDA)の締結:契約時に必ず締結するか



  • データ管理体制:データの保管場所、アクセス権限の管理方法



  • セキュリティ認証:プライバシーマーク、ISMS(ISO27001)などの取得状況



  • スタッフ教育:情報セキュリティに関する社員教育の実施状況


対応している会計ソフトを確認する

既に会計ソフトを使用している場合は、記帳代行業者がそのソフトに対応しているか確認が必要です。

主要なクラウド会計ソフト(freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計オンラインなど)には多くの業者が対応していますが、特殊なソフトや古いバージョンを使用している場合は、対応できないこともあります。

また、記帳代行業者が推奨する会計ソフトに変更することで、費用が安くなったり、作業効率が上がったりするケースもあります。

レスポンスの速さとコミュニケーション方法

記帳代行は継続的な取引となるため、円滑なコミュニケーションが取れるかは重要です。


  • 質問への回答スピードは適切か



  • 連絡手段は電話、メール、チャットなど、自社の希望に合っているか



  • 担当者制か、チーム制か(担当者制の方が一貫性があるが、担当者不在時のリスクがある)



  • 定期的な面談や報告の機会があるか


契約前に担当者と面談や打ち合わせを行い、相性を確認することをお勧めします。

納期と品質保証

試算表の納期は経営判断に直結します。月次で試算表を受け取る場合、月末締めから何日で納品されるかを確認しましょう。

一般的には、月末締めから10日〜20日程度が標準的です。特急対応が必要な場合は、追加料金で対応できるかも確認しておくと安心です。

また、誤記帳があった場合の対応方針や、品質保証の仕組みについても確認しておきましょう。

料金体系の明確性

料金体系が明確で、追加料金が発生する条件が分かりやすいかも重要なポイントです。


  • 基本料金に含まれる仕訳数はいくつか



  • 超過した場合の追加料金は1仕訳あたりいくらか



  • どのようなオプションがあり、それぞれいくらか



  • 契約期間の縛りはあるか



  • 解約時の条件(違約金の有無など)


契約書に不明瞭な点がないか、しっかり確認してから契約しましょう。

記帳代行を活用すべき企業の特徴

記帳代行が特に効果を発揮するのは、どのような企業でしょうか。導入を検討すべき企業の特徴をまとめます。

経理担当者がいない小規模事業者

従業員が数名程度の小規模事業者では、経理専任の担当者を置くことが難しいケースが多いでしょう。経営者自身や別の業務を担当している社員が、兼務で記帳を行っている企業は、記帳代行の導入効果が最も高いと言えます。

創業間もないスタートアップ企業

起業直後は、事業の立ち上げや顧客開拓に全力を注ぎたい時期です。記帳業務に時間を取られることは、機会損失につながります。

また、創業期は資金繰りがタイトなため、正社員の経理担当者を雇用する余裕がないケースも多いでしょう。記帳代行を活用することで、低コストで正確な記帳体制を構築できます。

急成長中で取引数が増加している企業

事業が軌道に乗り、売上や取引数が急増している企業では、記帳業務の負担も比例して増大します。社内の体制が追いつかず、記帳が後回しになってしまうと、経営数値の把握が遅れ、適切な意思決定ができなくなります。

記帳代行を利用することで、成長期の貴重な人的リソースを、営業やマーケティングなど、より重要な業務に集中させることができます。

経理担当者の退職リスクに備えたい企業

経理業務を一人の担当者に依存している企業では、その人物が退職や病気で不在になった場合、業務が停滞するリスクがあります。

記帳代行を活用することで、特定の個人への依存度を下げ、業務の継続性を確保できます。社内の経理担当者には、より戦略的な財務管理や経営分析に注力してもらうという役割分担も可能になります。

繁忙期と閑散期の差が大きい企業

季節変動が大きい業種(観光業、建設業など)では、繁忙期と閑散期で取引数が大きく変動します。正社員を雇用すると、閑散期には人件費が無駄になってしまいます。

記帳代行であれば、取引数に応じた従量課金制のサービスを選ぶことで、繁忙期は多めに、閑散期は少なめに、といった柔軟なコスト管理が可能です。

まとめ:記帳代行で経営資源を最適配分する

記帳代行は、単なるコスト削減策ではなく、経営資源の最適配分を実現するための戦略的な選択です。

本記事で解説してきたように、記帳代行には以下のような明確なメリットがあります。


  • 経営者や社員が本業に集中できる時間を創出



  • 専門家による正確な記帳で税務リスクを軽減



  • 人件費を最適化し、固定費を変動費化



  • タイムリーな経営数値の把握による適切な意思決定



  • 不正防止とガバナンスの強化


一方で、社内にノウハウが蓄積されない、完全なリアルタイム性には制限がある、といったデメリットも存在します。これらを理解した上で、自社の状況に合わせて活用することが重要です。

記帳代行の費用相場は、記帳代行専門業者で月額6,000円〜20,000円程度、税理士事務所との顧問契約込みで月額30,000円〜40,000円程度です。経理担当者を正社員として雇用する場合と比較すれば、大幅なコスト削減が可能です。

サービス選択の際は、税理士の有無、セキュリティ体制、レスポンスの速さ、料金体系の明確性などを総合的に判断しましょう。複数の業者から見積もりを取り、実際に担当者と面談することで、自社に最適なパートナーを見つけることができます。

記帳業務から解放されることで生まれる時間を、顧客価値の創造や事業戦略の立案といった、より本質的な経営活動に投資できます。記帳代行は、現代の中小企業経営において、もはや選択肢の一つではなく、競争力を維持するための必須の経営ツールと言えるでしょう。

自社の経営課題を見つめ直し、記帳代行の活用が適切かどうか、ぜひこの機会に検討してみてください。

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